Windows 2000 Insider/PC Insider合同特別企画

Windows XPの正体
実験/実証によって探るWindows XPの真実の姿

リモート デスクトップで遠隔操作する

2.リモート デスクトップ接続を使う

デジタルアドバンテージ
2001/10/13

 さてそれでは実際にリモート デスクトップ接続を使ってみよう。

サーバ(Windows XP Professional)側の設定

 リモート デスクトップ接続を利用するためには、まずサーバ側でリモート デスクトップ接続を許可し、さらに接続を許可するユーザーを選択しておけばよい。

リモート デスクトップ接続の許可
リモート デスクトップ接続を許可するには、システムの[プロパティ]−[リモート]で、[リモート デスクトップ]をオンにする。Windows XP Home Editionでは、この機能は利用できない。上にある[リモート ヘルプ]は、外部のヘルプデスクなどからこのマシンを操作するためのもの。
  リモート ヘルプは、外部からマシンをリモートで操作するためのもの。こちらはWindows XP Home Editionでも利用可能。
  リモート デスクトップでこのマシンにログオンするためには、このチェックボックスをオンにする。この機能が利用できるのはWindows XP Professional以上。
  リモートからログオンできるユーザーを指定するには、これをクリックする。→
 
リモート デスクトップ接続を許可するユーザーの指定
セキュリティのために、リモート デスクトップ接続でログオンするユーザーは、管理者がこのリストに追加しなければならない。
  許可するユーザーのリスト
  新たに追加する場合はここをクリックして、ユーザーの一覧から選択する

クライアント側の接続設定

 リモート デスクトップ接続を行うためには、[スタート]メニューにある[アクセサリ]−[通信]から[リモート デスクトップ接続]を起動する。何度も同じサーバへ接続する場合は、後で述べるように、設定ファイルを保存しておけば、次回からはクリックするだけで目的のサーバへ簡単に接続することができる。

 このショートカットには、2通りの使い方がある。この[リモート デスクトップ接続]を起動すると、デフォルトでは以下のような簡易形式のダイアログが表示される。ここで接続したいコンピュータの名前を入力して[接続]を押せば、画面の解像度や色数などがデフォルトのままで接続が行われる。

簡易形式のリモート デスクトップ接続
メニューから起動した直後の簡易形式の接続ダイアログ。接続先を入力して[接続]を押せばデフォルトの設定のままでリモート デスクトップ接続が行われる。詳細なオプションを設定したり、以後のためにショートカットを作成したりする場合は、[オプション]を使用する。
  接続先のコンピュータの指定。右端のドロップダウン・リストのボタンをクリックすると、ターミナル サービスを実行しているマシンの一覧が表示されるので、そこから選択することも可能。
  これを押すとリモートへ接続される。
  詳細なオプションを設定するには、これをクリックする。

■リモート デスクトップ接続の詳細設定
 デフォルトでは、リモート デスクトップのウィンドウ・サイズや色数は、これを実行しているクライアント側の環境に合わせて設定されるが(サーバ側の画面解像度や色数には依存せず、クライアント画面の解像度と色数に合わせられる)、より小さなウィンドウにしたいとか(この方がクライアント画面全体が覆われないので、扱いやすくなる)、トラフィックを減らすために色数を減らしたければ、上記の[オプション]をクリックして詳細設定を行う。

リモート デスクトップ接続の詳細設定1
接続情報を保存したり、接続先ごとに個別の設定を行ったりするためのダイアログ。いったん作成した接続情報を保存しておくと、次回からは簡単にリモートへ接続することができる。
  接続先のコンピュータ名。ドロップダウン・リストからターミナル サーバが稼動しているマシンの一覧を表示させることもできるが、Windows XP Professionalのリモート デスクトップ接続を実行しているサーバはなぜか表示されないので、手動で入力する必要がある。
  ユーザー名やドメイン名、パスワードの指定。
  パスワードを保存しておくと、今後は簡単に接続することができるが、セキュリティのことを考えると、毎回入力するようにした方がよいだろう。
  以上の設定をファイルにして保存するためのボタン。接続情報は.RDPというファイルに保存される(このファイルの内容はすべてテキスト形式)。以後は、そのRDPファイルをクリックするだけで自動的にリモート接続が実行される。

■画面情報の設定
 リモート デスクトップ接続の[画面]タブでは、リモート デスクトップの仮想的な画面サイズや色数を指定する。デフォルトでは、これはクライアント側の解像度と色数に合わせられているので(サーバ側の画面が小さくても、色数が少なくても関係ない)、そのままではクライアントの画面いっぱいにリモート デスクトップ・ウィンドウが展開されてしまう。複数のサーバに接続したりするには、もう少し狭いウィンドウの方が扱いやすいかもしれない。ここでは、そのための指定を行う。

 指定できるサイズは、640×480ドット、800×600ドット、1024×768ドット、1152×864ドット、1280×1024ドット、……、などである。色数は8bit、15bit、16bit、24bitが指定できる(ただし環境によっては24bitを指定しても、16bitカラーしか利用できない場合もある)。Windows 2000のターミナル サービスでは256色しか利用できないので、そのような相手へ接続する場合は8bitを指定しておく。

リモート デスクトップ接続の詳細設定2
仮想的なデスクトップのサイズや色数を指定する。デフォルトではクライアントの画面と同じサイズ/色数となっている。
  解像度の指定。デフォルト(右端)はクライアントの画面サイズと同じ。
  色数の指定。デフォルトはクライアントの色数と同じ。
 

後述する「接続バー」を表示させるためのチェックボックス。

■ローカル・リソースの設定
 リモート デスクトップ接続の[ローカル リソース]タブでは、ローカルのディスクやプリンタなどのリソースを、リモート デスクトップのウィンドウ中からも利用できるようにするかどうかの設定を行う。つまり、ローカルのリソースを共有、公開して、それをサーバ側から接続するかどうかを決めるのがこのダイアログである。また、サウンド・データ(WAVのみ)をどちらのマシンで再生するのかも設定する。

リモート デスクトップ接続の詳細設定3
サウンド・データの再生方法やローカル・デバイスを公開するかどうかの設定を行う。
  サウンド・データの再生方法の指定。デフォルトでは、ローカル(リモート デスクトップのクライアント側)へWAVデータを転送して再生することになっているが、まったく再生しないか(これは従来のターミナル サービスと同じ)、(リモート デスクトップの)サーバ側で再生するかを指定することができる。サーバ側で再生すれば、トラフィックを増やさなくてもすむが、マシンが離れた場所にあるならば、あまり意味はないだろう。
  ALT+TABのような特別なキーを押すと、通常はクライアント側のウィンドウの切り替えになる。しかしこの設定を変えると、全画面モード時だけはサーバ側のウィンドウ内での切り替えに使ったり、常にサーバ側へ送ったりすることができる。
  これらのローカルのリソースを、サーバ側から利用するかどうかを指定する。サーバ側からは「\\tsclient\c」などという名前で参照できる。

■デスクトップ環境の設定
 リモート デスクトップ接続(もしくはターミナル サービス)では、サーバのメモリの上に仮想的な画面を作成し、描画によって変更があった部分(差分)のデータだけをクライアントに送ることによって、リモートからの操作を実現している。そのため画面が頻繁に書き換えらると、それだけ送るべきデータが増え、結果としてネットワークのトラフィックが非常に増大する。これを抑えるため、ネットワークの帯域に応じてデスクトップの描画方法を変更したり、背景を省略するなどの最適化を行っている。また、フォントのビットマップデータをクライアント側へキャッシュしたりして、送信するべきデータの抑制なども行っている。

リモート デスクトップ接続の詳細設定4
接続速度に基づいて、描画するべきオブジェクトの最適化を行うための設定。デスクトップの背景を省略したり(こうすれば、背景の再描画時にいちいち背景データを転送する必要がなくなる)、ドラッグ中にはウィンドウの中身の再描画を省略したりする。
  回線速度の指定。これに基づいて描画の最適化を図る。デフォルトでは、28.8Kbpsのモデム、56Kbpsのモデム、128Kbps〜1.5MbpsのWAN回線、10Mbps以上のLAN回線が選べ、それに基づいて以下の項目が決められる。
  それぞれのどの項目を描画するか、省略するかの指定。28.8Kbpsモデムでは一番下のみがオンで、高速になるにつれてさらに上の方がオンになる。

リモート デスクトップ接続の操作

 以上の設定を済ませて[接続]ボタンをクリックすると、リモート デスクトップ接続のサーバに接続され通常のログオン画面が表示される(自動ログオンに設定していない場合)。もし接続先がWindows XP Professionalで、すでに誰かがコンソール(もしくはリモート経由)で接続していれば、その接続を切断して、新たにログオンするかどうかを問い合わせるダイアログが表示される。そこで[はい]をクリックすると、元のユーザーは切断され(単にサスペンド状態になるだけなので、後で再接続することができる)、新しいユーザーがログオンすることになる。

 以下にリモート デスクトップ接続のクライアント画面を載せておく。通常のWindows XPの画面とまったく変わらないことが分かるであろう。ただ1つ異なるのは、画面の中央最上部に、黄色いバーが表示されていることぐらいである。ネットワーク経由なので若干の速度低下が見られるが、直接コンソール画面を使っているのと変わらない操作性を備えている。ただしこの画面では、たとえばグラフィックス・チップが備えている3Dアクセラレーション機能などは利用できないため(ソフトウェアで仮想的な画面に描画しているので)、ハードウェア2D/3D機能を使うようなアプリケーション(OpenGLとかDirectX、DVD再生など)は、非常に遅くなるか、まったく利用できなくなることがある。だが。一般的なオフィスなどのアプリケーションはほとんど問題なく利用できるだろう。

リモート デスクトップ接続の使用画面
リモート デスクトップ接続でサーバに接続したところの画面。速度は若干遅くなるものの、操作性に関しては直接コンソール画面を使っているのとほぼ同じといえる。
  ウィンドウの上部中央に表示されているのが「接続バー」。デフォルトでは、全画面状態では常にこの位置に接続バーが表示されるが、バーの左端の「ピン」を横にすると、カーソルをこの付近に持ってきたときだけ、自動的に表示されるようになる。

 画面上部の黄色いバーは「接続バー」という。デフォルトでは常に表示されているが、バーの左側にある「ピン」を横にすると、マウス・カーソルが上部にあるときだけ表示され、マウスがその領域を離れると上部へスライドして消えるようになっている。接続バーをダブルクリックすると、リモート デスクトップ接続のウィンドウが最大化されたり(全画面モードになる)、元のウィンドウ・モードに戻ったりする。

 従来のターミナル サービスのクライアントでは、このような操作はキーボードのショートカットキー(Ctrl+Alt+Break)経由でしかできなかったので、ずいぶん使いやすくなっている。以下にそのショートカット・キーを示しておく。

ショートカット・キー 意味
Alt+PageUp プログラムを左から右に切り替える
Alt+PageDown プログラムを右から左に切り替える
Alt+Insert 起動した順にプログラムを切り替える
Alt+Home [スタート]メニューを表示する
Ctrl+Alt+Break ウィンドウ表示と全画面表示モードを切り替える
Ctrl+Alt+End Windowsのセキュリティ・ダイアログ・ボックスを表示する
Alt+Delete [Windows]メニューを表示する
Ctrl+Alt+テンキーの[−] クライアント・ウィンドウのスナップショットをクリップボードに置く(ローカルにおけるPrintScrnと同等)
Ctrl+Alt+テンキーの[+] クライアント内のアクティブ・ウィンドウのスナップショットをクリップボードに置く(ローカルにおけるAlt+PrintScrnと同等)
リモート デスクトップ接続(ターミナル サービス)におけるショートカット・キー
ウィンドウを切り替えたり、メニューを表示したりするためのキーは、単にそのまま押すと、クライアント・マシン上のWindowsに対する指示になるので、リモート デスクトップ接続のウィンドウ内だけで機能する特別なキーが用意されている。

 リモート デスクトップ機能を使えば、会社や自宅にあるマシンを遠隔地から操作/メンテナンスしたり、高性能なマシンを共有して利用したりと、その用途は非常に広い。テキストベースのインターフェイスではこのようなリモートからの操作は今まではごく当たり前に行われていたが、これからはWindows環境もリモートからログオンして利用という使い方が普及しそうである。End of Article

 

 INDEX
  [Windows XPの正体] 実験/実証によって探るWindows XPの真実の姿
  リモート デスクトップで遠隔操作する
    1.リモート デスクトップ接続とは
  2.リモート デスクトップ接続を使う
 
 「Windows XPの正体」


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