Wordファイルの隠れた不適切データを削除するには?
2007/5/7
以前、Microsoft Wordの「変更履歴の記録」機能をご紹介しました。
関連記事
- ビジネスソフト ヒント×テクニック − 他人が修正した文書ファイルの変更個所を分かるようにするには?(@IT情報マネジメント)
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とても便利な機能ですが、最終的に社外に提出する文書を作るに当たって、複数の関係者がチェックするのにこの機能を使う場合は、注意が必要です。
というのは「変更履歴の記録」でさまざまな書き込みを行ったファイルを、[チェック/コメント]ツールバー※1で「最終版」表示にするとその書き込みはなくなったように見えるものの(画面1)、実際には履歴データは残っています。表示を「最終版(変更箇所/コメントの表示)」に切り替えるだけで、簡単に履歴データが見えてしまうのです(画面2)。
※1 Word 2002/2003の場合![]() |
画面1 「最終版」にすると、画面のうえでは変更個所が表示されなくなる(クリック >> 図版拡大) |
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画面2 「最終版(変更箇所/コメントの表示)」を選ぶと変更個所が見えてしまう(クリック >> 図版拡大) |
うっかりこの状態で社外にファイルを送付したりすると、社内での細かなやりとりが流出してしまうことになります。過去の契約書などを書き替えて新しい文書を作った場合などでは、ほかのお客さまの名前の入ったまま別の会社に送られてしまうことも考えられます。今回は、これを防ぐ方法をご紹介します。
「隠しデータ削除」アドイン
[ステップ1] ダウンロード
まず紹介するのが、マイクロソフトが提供する「隠しデータ削除」アドインを使う方法です。このアドインは、Word 2002/2003※2が対応しています。マイクロソフト ダウンロードセンターからダウンロードしてください。
※2 このほか対象となるとなるのは、Excel 2002/2003、PowerPoint 2002/2003です。ダウンロード
- Office 2003/XP アドイン:隠しデータの削除(マイクロソフト ダウンロードセンター)
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画面3 マイクロソフト ダウンロードセンター(クリック >> 図版拡大) |
[続行]ボタンを押して正規版を使用しているかが確認されると、[ダウンロード]ボタンが表示されます(画面4)。
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画面4 ダウンロードが可能な状態になった(クリック >> 図版拡大) |
[ダウンロード]ボタンを押して、自分のPCにrhdtool.exeをダウンロードします。
[ステップ2] セットアップ
rhdtool.exeをダブルクリックするとインストールが始まります。インストールが完了したら、Wordの[ファイル]メニューに[隠しデータの削除]が追加されているかを確認してください。うまくインストールできた場合は、ファイルのプルダウンメニューの中に、[隠しデータの削除]という項目が追加されます。
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画面5 [ファイル]メニューに機能が追加されているかどうかを確認(クリック >> 図版拡大) |
メニューに表示されない場合は、[ツール]メニューの[オプション]をポイントし、[セキュリティ]タブをクリックします。そして[マクロのセキュリティ]をクリックし、[信頼のおける発行元]タブをクリックします。その後、[組み込み済みのアドインとテンプレートをすべて信頼する]チェック ボックスをオンにして、[OK]を2回クリックすると表示されます。
あいにく上記の対応をしてもメニューに表示されない場合は、Officeのアップデートが行われていない可能性があります。例えばWord 2002の場合は、サービスパック2(SP2)以上が隠しデータ削除を使う要件となっています。SP2が当たっていない場合、Officeのアップデートを実行して再起動後、メニューが追加されているかを確認してください。
[ステップ3] 隠しデータの削除
このアドインを使ってみましょう。[ツール]メニューの[隠しデータの削除]を選択するとダイアログボックスが開きますので、そこで隠しデータを削除したいWordファイルのファイル名を指定します(画面6)。
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画面6 「隠しデータの削除」ダイアログボックス(クリック >> 図版拡大) |
ファイル名が指定されると[次へ]ボタンがアクティブになるので、これを押すと削除が実行されます。削除が終了すると、そのログが表示されます。
対象ファイルを開くと履歴が削除されています(画面7)。ほかに「版の管理」機能による過去の版データやプロファイル情報も削除されます。削除の内容は、ログに表示されます。
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画面7 隠しデータが削除された(クリック >> 図版拡大) |
手動で削除する方法
もう1つ、変更履歴データを削除する方法として、変更履歴を文書に“反映”させるというやり方があります。変更履歴というのは、「このように変更してください」「修正したらよいのではないか」という指示や意見ですから、それを反映する/しないの判断を行って、正しい文書を作り上げていくのが標準的なプロセスです。
[チェック/コメント]ツールバーには、変更個所にジャンプする機能や[変更の承諾]などの機能などがあります。また、変更個所(あるいは吹き出し)にマウスポインタを合わせて右クリックメニューを表示させると、ここからも[変更の承諾]機能にアクセスできます。そこで変更を承諾するか、元に戻すかを選んでいきます。また、コメントを削除する場合もこれに準じます。
変更履歴の反映/却下は、一括して行う方法もあります。[チェック/コメント]ツールバーの[変更の承諾]ボタンの横にある、下向き三角マークをクリックし、[ドキュメント内のすべての変更を反映する]を選択するとすべての変更が文書に反映されます。[表示されたすべての変更を元に戻す]を選ぶと、すべての変更が却下されて文書に反映されます。
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画面8 右クリックメニューで変更の反映/却下を選択していく(クリック >> 図版拡大) |
手動で“最終版”を作る場合は、きちんと文書のプロパティの確認も行っておきましょう。[ファイル]−[プロパティ]でウィンドウが表示されます(画面9)。コピーして作り始めた文書ファイルの場合、ここのタイトルや作成者が提出者として相応しくない名前になっていることがあります。
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画面9 ファイルプロパティのウィンドウ(クリック >> 図版拡大) |
なお、Word 2007からは、最終処理機能が付加されました。この機能を使うと、変更履歴、コメント、プロパティなどを一括してチェック、削除することが可能です。[Officeボタン]で[ファイル]メニューから[最終処理]−[ドキュメント検査]で利用できます。
これらの操作で削除したデータは、復活できません。あらかじめ別名でファイルを保存しておくことをお勧めします。
横浜市大卒。青山学院大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。アスキー、ソフトバンクなどを経て、ナスダック上場外資系企業のPR/マーケティングマネジャーを歴任。また雑誌などでIT系、資格系の執筆を行う(日経BP社、ダイヤモンド社、ソフトバンクパブリッシング、翔泳社など)。現在、IT系企業、ベンチャー企業のマーコム・PRコンサルティング、テクニカルライティングの仕事を行う「ビーコミュニケーション」という屋号で活動。「オルタナティブブログ」に参加しているほか、マーケティングや転職などの情報を配信する無料メールマガジン「B-zine」を配信中。
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