時代は「PC資産管理」から「IT統合資産管理」へ
2009/11/17
第一生命情報システム株式会社
基盤システム第一部
石井仁氏
勉強会はまず最初に、第一生命情報システム株式会社の石井仁氏が「5万件のPC・周辺機器管理への資産管理製品の導入事例」と題して、ISO 20000取得への取り組み、IT資産管理などについて事例紹介を行った。同社の親会社である第一生命保険相互会社では、保有する5万台の機器の状況を把握するため、資産管理システムを導入するとともに、業務フローの見直しを行い、PCなどの運用について大幅な効率化を実現したと述べた。今後についてはクラウド/仮想化を見据え、データセンターについても、従来以上に高度な管理へ取り組む意向を示した。
IT統合資産管理のススメ
株式会社コア
プロダクトソリューションカンパニー
ネットワークソリューション事業部
武内烈氏
第2セッションでは株式会社コアの武内烈氏が「クライアントPCからデータセンターまで ‐ IT統合資産管理のススメ」と題して講演を行った。武内氏は冒頭、オフィス内のPCを有効活用するためのソリューションであったIT資産管理がサーバやネットワーク機器、ソフトウェアなども含むIT資産全般を対象とする“IT統合資産管理”に変化してきていることを指摘。特にそれらIT資産相互のリレーション(関係性)をひも付けて管理することが重要だとした。
ITサービス管理のガイドラインであるITILでは、そうした情報を管理する“うつわ”としてCMDB=構成管理データベースの構築が求められているとしたうえで、クラウド環境を実現するためにはこれが必須だと述べた。
続けて、武内氏はIT資産管理のポイントを解説した。PC管理でコスト削減を実現するには「PCの標準化」が有効であり、そのポイントは「標準化の維持」だという。一般にPCは会社に納入された時点では標準構成になっているが、その後の統制がない場合、次第に標準構成が崩れ、運用管理・サポート・障害対応・ユーザー教育などで余計なコストが掛るようになる。そのためにPCのハードウェアとソフトウェアを見える化して、標準構成を保つ活動が大切だとした。
また、IT資産管理は財務的な観点からも検討が必要だという。「例えば総資本回転率といった経営指標で考えた場合、PCをすべて社内の資産として計上すべきなのか、それともPCを保有せずに運用メンテナンスまで含めてBPOとして外部委託するのかという財務戦略上の選択があるはず」(武内氏)。データセンター資産の場合はプライベートクラウドの構築を視野に入れると、サービスコストを把握することがこれからの課題だと強調した。
■ソフトウェアとライセンスは“ひも付け”管理する
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これはソフトウェアの管理では特に顕著で、武内氏はコアではソフトウェア資産管理(SAM)に力を入れているとしたうえで、ソフトウェア・インベントリ情報の収集、ソフトウェア台帳の整備、ソフトウェアライセンスの突合といった作業を自動化することのメリット、ソフトウェアライセンスを管理することで無駄や不正が抑止できる点を指摘した。
さらに武内氏はIT統合資産管理とセキュリティの関係を説明する。PCであれ、サーバであれ、セキュリティを確保するにはOSやアプリケーションソフトのセキュリティパッチやウイルス対策ソフトの定義ファイルを常に更新することが必要だ。そこで会社として“セキュアな状態”を定め、それを順守することをセキュリティポリシーで義務化し、それをIT資産管理ツールで順守させるという流れが有効だ。「弊社ではネットワークにつながったPCを自動照合してポリシー違反がないかをチェックする製品を提供している」(武内氏)。
情報漏えい対策では従来、メールやPtoPソフトが問題視されていたが、これらは上記のセキュリティポリシーと監視ツールの組み合わせで対策できるようになってきている。次に問題になる部分としてはUSBメモリなどへの書き出しだが、コアでもUSBメモリへの書き出し制御、アプリケーション機能制御、ログ管理などについても提供していくという。
■クラウドではサービスコストの把握が重要となる
続けて、話題はデータセンターにおけるIT資産管理に転じた。今後のデータセンター資産の管理について、武内氏は「意思決定や効率化に役立つ情報を提供するため、契約や会計に関する情報を管理することが大切になると考えている。私たちは現在、資産管理の観点から見たCMDBの開発を進めており、構成管理の枠組みで契約や会計を扱うソリューションを提供したい」と述べた。これはデータセンター資産情報と契約情報、財務情報、人事(ユーザー)情報をひも付けて、あるユーザーが利用しているサービスはどのようなリソースを使い、コストはいくらかを自動的に算出するようなシステムの基盤となるCMDB製品のことだ。そのCMDBではクラウド対応のために、CPUコアやサービスをも管理対象としていくという。
また、構成管理では変更依頼があったときにインパクト分析が行いやすいように、アプリケーション‐OS‐CPUコアの関係が分かる、あるいはトポロジーマップのような見え方をする製品を考えていると述べた。
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