ただしパターンファイルの障害は「告知遅れをお詫び」
20周年迎えるトレンドマイクロ、「サービスビジネスを推進」
2008/02/15
トレンドマイクロは2月15日、企業向けのサービスビジネスを強化していく方針を明らかにした。「2008年はサービス元年の年」(トレンドマイクロ日本代表の大三川彰彦氏)。その第一歩として、顧客ネットワークを監視し、ウイルス発生状況のレポートや予防策などを提供する「Expert on Guard」サービスを3月1日より開始する。
Expert on Guardでは、リージョナルトレンドラボ内に設置する「Trend Micro Monitoring Operation Center(TMOC)」を通じて、顧客のウイルス対策状況を24時間365日体制で監視する。モニタリングを通じて得られた疑わしいファイルを解析し、危険性の高いウイルスについては事前に予防策を提供するとともに、専門家による分析結果を定期的に提供していく。
単純に検出結果などをレポートするだけでなく、「どこをどう強化すればいいか、いうなれば『傾向と対策』についてアドバイスしていく」(大三川氏)。各企業にサービスを提供する中で得られた「気付き」「傾向」についても、積極的に共有し、被害が拡大する前に提供していく方針だ。
同社では企業向けサポートサービスとして「トレンドマイクロプレミアムサポート(TPS)」を提供している。TPSがどちらかといえば、感染などの被害が生じた後の対応を支援するものであるのに対し、Expert on Guardは日頃からの監視を通じ、迅速に、できればインシデントが発生する前にそれを検知し、対応することを狙う。
サービス提供の背景には、2007年以降、脅威の姿が大きく変化したことが挙げられる。明確に犯罪や金銭詐取を目的とする攻撃が増え、Webを介した脅威や複合型の脅威、それに従来の方法では検体の収集が困難な「ターゲット型」攻撃が増加してきた。トレンドマイクロでは同サービスを通じて、こうした新たなタイプの脅威に素早く対応していきたいという。
Expert on Guardサービスには、サービス内容によって「Basic」「Standard」「Premium」の3種類がある。料金は、Standardサービスで1000〜1499クライアントまでを対象とした場合、年額278万円など。システムインテグレータなどのパートナーと共同で販売していく。
トレンドマイクロでは引き続きサービス事業を強化し、2008年第2四半期には、ネットワーク内部で攻撃を予防する「自己免疫型ソリューション」を開始するほか、Webサイトの脆弱性診断をはじめとするコンサルティングサービスや教育サービスなどを順次展開し、3年後には「事業の柱にしていきたい」(大三川氏)という。
パターンファイル不具合、告知に遅れの理由
また、2月13日に明らかになったウイルスパターンファイルの不具合について、大三川氏は質問に答え、「不具合についてお知らせするのが遅くなったことを謝らなければならない」と述べた。
この不具合は、同社の企業向けウイルス対策ソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション」のほか、「ServerProtect」「Trend Micro Client/Server Security」などに影響があった。13日に公開された「ウイルスパターンファイル4.995.00」を適用すると、メールやデータベースといった大容量のファイルを検索した際に時間がかかり、端末が停止したかのように見えるケースが発生した。
大三川氏によると、「(以前発生したパターンファイルの不具合を踏まえ)顧客からのコール数を見て対処するかどうかを決めていたが、今回はそのコール数が少なかったことから、情報を提供するのが遅れた」という。サポート情報が公開されたのは同日午後3時13分のことだった。
この問題は、13日の午前6時40分ごろに公開された「パターンファイル4.997.00」では修正されている。トレンドマイクロでは、パターンファイルのアップデートを呼び掛けている。
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