コミュニティへの積極的なフィードバックも
Xenベースの「セキュア・プラットフォーム」、開発はほぼ目標通り
2008/03/12
セキュア・プラットフォーム推進コンソーシアムは3月11日、2007年度の成果報告会を開催した。
超先端電子技術開発機構(ASET)は、2007年度の経済産業省公募を受けて、「セキュア・プラットフォーム」の研究開発活動に着手している。セキュア・プラットフォームとは、仮想化と統合アクセス制御という2つの技術を活用して実現されるサーバ統合システムで、運用コストが低く、かつセキュアであることを特徴とする。
同コンソーシアムは、このセキュア・プラットフォームの実現に向けた調査・普及活動を目的として、2007年10月に設立された。以来、半年ほど活動を進めてきたが、「今年度は、ほぼ目標どおりの成果を上げられたと思う」(ASETのセキュア・プラットフォーム研究部長、時光淳三氏)という。
セキュア・プラットフォームは具体的には、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」を採用している。この基盤上に複数のサーバを統合し、ロール(役割)ベースの統合アクセス制御(RBAC)を組み合わせることで、ハイパーバイザーからその上で動作する仮想OS、アプリケーションに至るまで、一貫したセキュリティを実現する。この結果、管理を一元化、簡素化しながら、不正アクセスや情報漏えいの防止につなげていくという。
2007年度は、仮想マシン単体での安定性やセキュリティ確保に向けた取り組みを進めた。具体的には、RBACの仕組みを取り入れ、root権限を持たずにゲストOSの得管理を行えるようにする「最小権限化」を図った。また、障害が発生した際の影響を極小化する「部分故障隔離」の実現に向けて仮想SCSIドライバ(pvSCSI)を開発したほか、共有ディスクに対する帯域制御の仕組みなどを実現してきたという。
一連の成果はXenコミュニティにもフィードバックされている。2007年9月から2008年2月にかけて、Xen全体では1407件のパッチが採用された。このうち、富士通などからセキュア・プラットフォーム関連で投稿されたパッチは215件、15.3%に上った。
ASETでは3年計画でセキュア・プラットフォームの研究開発に取り組む予定だ。2008年度は、サーバ仮想化と統合アクセス制御がシステムとして連携するところまで作り込み、翌年の実証実験につなげていく方針という。
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