マルチコア搭載でパフォーマンス向上
「UTMをボトルネックにしない」、ソニックウォールが中規模向けUTM
2008/04/09
ソニックウォールは4月9日、UTM(統合脅威管理)アプライアンス製品「SonicWALL Network Security Appliance(NSA)」の新モデル、「NSA 3500」と「NSA 4500」を発表した。
ソニックウォールは、独自OS「SonicOS」をベースとしたUTMアプライアンスを提供してきた。ファイアウォールやVPNといった基本機能に加え、IPS(不正侵入防御)やゲートウェイでのアンチウイルス、コンテンツフィルタリング、アプリケーション層でのスキャンや制御が可能なアプリケーションファイアウォールといったオプションが利用できる。
同社が2007年11月に発表した「SonicWALL NSA Eシリーズ」は、数千ユーザークラスのエンタープライズネットワークを対象としている。一方、小規模ネットワーク向けとして「SonicWALL PROシリーズ」も提供してきた。2つの新製品は、500ユーザーまでの中規模ネットワークを対象としており、これらの中間に位置付けられる。
特長は、上位のNSA Eシリーズ同様にマルチコアプロセッサを搭載していること。各コアの使用率を見ながらパケットを振り分け、負荷分散することにより、高いパフォーマンスを実現する。「ネットワーク帯域は急速に拡大しているが、UTM側の処理が追いつかず、ボトルネックになる恐れも出てきている。マルチコアアーキテクチャにより、その課題を解消する」(同社システムエンジニアの奥山剛央氏)。
また、ディープパケットインスペクションについても独自エンジンを採用した。パケットをいったんメモリにため込み、再構築してからスキャンする方式ではなく、パケットをリアルタイムに検査することで、パフォーマンスへの影響を抑えている。
NSA 3500のスループットはファイアウォールで1Gbps、VPNで625Mbps、ゲートウェイアンチウイルスでも310Mbpsとなり、既存機種「PRO 3060」に比べ3倍以上の性能となっている。さらに、SonicOS 5.0で実装したステートシンク機能もサポートしており、セッション情報を保持したまま障害時の引き継ぎが可能という。価格は、4コア搭載のNSA 3500が79万8000円、8コア搭載のNSA 4500は123万円。
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