セキュリティも利便性も上がる「珍しい製品」
手のひら静脈やFeliCaで社内システムへログイン、富士通が認証サーバ
2008/04/10
富士通は4月10日、企業向けの認証専用サーバ「Secure Login Box」の機能を強化し、販売を開始した。新たに、マウス型手のひら静脈センサーやFeliCaによる認証に対応した。
Secure Login Boxでは、Windows PCへのログインやアプリケーション利用時の認証を、IDとパスワードの代わりに、指紋や手のひら静脈を用いたバイオメトリクス認証によって行うことができる。ユーザーは、まず専用ソフトウェア「SMARTACCESS/Premium」を通じてSecure Login Boxとの間で認証を行う。本人と認められると、Secure Login Box側で管理されている本来のIDとパスワードがOSやアプリケーション側に送られる仕組みで、シングルサインオンも実現される。
特長は、既存のアプリケーションに大きく手を加えることなく、認証を強化できること。APIを組み入れるといった工数をかけることなく、専用のGUIを用いて画面を関連付けることで、Secure Login Boxの仕組みをかぶせ、短期間で導入できるという。CSVファイルを用いて、既存のユーザー情報をインポートすることも可能だ。
ユーザーにとっては、IDやパスワードを記憶し、入力する手間が省ける。またシステム管理部門にとっても、「パスワードを忘れました」といった問い合わせに対応する必要がなくなり、負担が減るというメリットがある。さらに、「パスワード管理をユーザーに任せる必要がなくなるため、誕生日などの推測しやすいパスワードが設定されることもなくなり、情報漏えいの可能性が減る」(同社パーソナルビジネス本部、パーソナルマーケティング統括部の小川創氏)。
「セキュリティ製品は通常、利便性と反比例するものだ。しかしこのSecure Login Boxは、セキュリティを強化すると同時に利便性も上がるという珍しい製品だと思う」(小川氏)
なお新モデル「FMSE-C401」では、マウス型手のひら静脈認証デバイスが利用できるようになった。また、FeliCa対応のICカードや携帯電話による認証もサポートしている。ただし、認証デバイスは富士通製に限られる。価格は2台1セットで79万8000円からとなっており、約3000ユーザーまで対応可能だ。7月末に出荷を開始する。
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