トレンドマイクロ、フィンガープリントを基に情報漏えいを防止する新製品
「機密ファイルの一部をコピペして送信」も検出
2008/04/14
トレンドマイクロは4月14日、企業向けの情報漏えい対策システム「Trend Micro LeakProof 3.0」を発表した。同社が2007年10月に買収した米Provillaの技術をベースとした製品だ。
Trend Micro LeakProof 3.0は、クライアント/サーバ型のアーキテクチャによる情報漏えい対策製品だ。外部に流出させたくないファイルやデータがあれば、まず、サーバの「LeakProof DataDNAサーバ」でフィンガープリントを取得し、クライアントにそれを配信する。クライアント専用ソフト「LeakProof Anti-Leakクライアント」は、このフィンガープリントに基づいて電子メールやWebメール、IMなどのアプリケーションおよびHTTP/HTTPS、SMTP、FTPといったプロトコルをチェックし、機密情報をUSBなどの外部媒体に保存したり、メールを介して外部に送信しようとするとブロックする。
特長の1つは、独自のフィンガープリント技術「DataDNA」により、ファイル全体だけでなく、その一部をコピー&ペーストした場合でも検出が可能なことだ。さらに圧縮したり、ファイル拡張子を変更した場合でも対応が可能という。
また、既存のワークフローに大きな影響を与えることなく導入できる点もメリットという。同社プロダクトマーケティングマネージャの横川典子氏は、「暗号化はPCの盗難などにはとても有用な対策だが、ワークフローへの影響は大きい」と指摘。これに対しTrend Micro LeakProofでは、機密情報と活用すべき情報との運用を分離し、機密情報は保護しつつ、外に持ち出して活用すべきデータはどんどん活用できるという。
Trend Micro LeakProofの対応ファイルはMicrosoft OfficeやOutlook、LotusやPDF、テキストのほか、ZIPやTARなどの圧縮ファイル。さらに、C/C++やJavaで書かれたプログラム、AutoCADによる設計情報など、機密性の高い開発情報についても、フィンガープリントの取得が可能だ。
新バージョンでは、スクリーンショット取得を禁止する機能や、ポリシー違反行為に対して警告を表示し、ユーザーの意識を促すための機能が加わった。また、外部メディアに保存する際に強制的に暗号化を行う機能も追加されている。
価格は、サーバが1000クライアントまで対応可能な「LP-100」で137万5000円、クライアントは100ユーザーの場合で150万円など。5月30日に出荷を開始する。なお同社では9月30日受注分までの期間限定で、LP-100と100クライアントライセンスを98万円で販売するキャンペーンを実施し、「アンチウイルスに代表される外から内への脅威への対策だけでなく、内から外への脅威への対策も提供していきたい」(横山氏)としている。
関連リンク
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。