ベンダの情報が届いていない?
PCセキュリティでも“ガラスの10代”、突出して低い対策率
2008/04/15
情報処理推進機構(IPA)が4月15日に発表した情報セキュリティに関するアンケートの調査結果で、男性よりも女性、そして若年層のほうがセキュリティ対策の実施率が低いことが分かった。女性では「分からない」との回答も多く、OSベンダやセキュリティ対策ベンダは、より分かりやすいソフトウェアや機能の提供が求められるようだ。
調査はWebアンケートで実施。PCでインターネットを使っている15歳以上の男女、5148人が答えた。実行しているセキュリティ対策で最も多かったのは「怪しいメール・添付ファイルの削除」で84.6%だった。次いで「セキュリティ対策ソフトの導入・活用」が74.3%、「Microsoft Updateなどによるセキュリティパッチの更新」は67.3%で3番目だった。最も実施率が低かったのは「電子メールの暗号化ソフト等の利用」で16%、「パスワードの定期的な変更」も20.1%しかなかった。
セキュリティ対策の実施率は男女、年齢層によってはっきりと分かれている。「セキュリティ対策ソフトの導入・活用」は男性が81.3%なのに対して、女性は66.3%。女性の12%は「分からない」と回答している(男性は2.5%)。「Microsoft Updateなどによるセキュリティパッチの更新」も男性の実施率は80.3%なのに対して、女性は52.6%。女性の「分からない」は23.4%で、女性の約4分の1は、Microsoft Updateを理解していないようだ。
年代別では10代のセキュリティ対策実施率が低い。「セキュリティ対策ソフトの導入・活用」の10代の実施率は61.9%。最高は40代の79.9%で、20ポイント近くの開きがある。10代では「分からない」という回答も17.8%と多い。「Microsoft Updateなどによるセキュリティパッチの更新」も10代は54.1%と各年代の中で最低。最高は40代の73.5%だった。10代の「分からない」は27.2%で突出して多い。
これらの結果から分かるのは女性、もしくは10代がセキュリティに対して無頓着というよりも、セキュリティ対策のメッセージが届いていないということだ。例えば、「Microsoft Updateなどの自動アップデート機能」を知っているかの質問では、全体では77.1%が「知っている」と回答。性別では男性は89%が知っていたが、女性では63.6%にとどまった。また、同じ回答を年代別に見ると、30代、40代では80%を超える中、10代では63.4%しか知られていない。OSベンダやセキュリティ対策ベンダは別の情報の出し方を考える必要があるだろう。
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