180〜200ミリ秒のレイテンシを実現

日本と欧州を最短距離で結ぶ光ネットワーク開通、KDDI

2008/07/08

 KDDIは7月8日、ロシアを経由して日本と欧州を結ぶ光ファイバの国際ネットワークを8月に構築し、9月に通信サービスを提供開始すると発表した。日本と欧州を最短距離で結ぶことが可能になり、従来の米国経由、インド洋経由と比べるとネットワークの遅延を大きく低減できるという。

 敷設したのはRussia-Japan Cable Networkで、ロシア通信大手のロステレコムのロシア横断ネットワーク(Transit-Europe-Asiaケーブル)と接続することで「欧州と日本を結ぶ最短ルートが完成する」(KDDI 執行役員 ICT事業本部長 石川雄三氏)。

 従来の米国経由の遅延時間(レイテンシ)が260ミリ秒、インド洋経由が300ミリ秒だったのに対して、新しい欧州-日本間のネットワークは180〜200ミリ秒のレイテンシで、国際ネットワークを使うようなアプリケーションのレスポンスを向上させる。提供する容量は2Mbpsから10Gbpsを予定している。

kddi01.jpg KDDIが構築した日本-欧州間の通信ネットワーク

 KDDIは欧州、ロシアでのネットワークサービスも拡充する。10月にはアイルランドや英国、イタリア、オランダ、ドイツ、フランスなど欧州13カ国の域内で利用できるイーサネットサービスを開始する。また、上記の国に加えてロシアなど30カ国でも域内のIP-VPNを提供開始する予定だ。ネットワーク構築のほかに、ルータやスイッチなどの宅内機器の提供、運用、監視もKDDI が担当し、「調達も運用もワンストップでできるようにする」(石川氏)という。

kddi02.jpg 欧州、ロシアで開始するイーサネットサービスとIP-VPNサービスの概要

 石川氏は特に「いまの顧客のトレンドは大容量でプロトコルにこだわらないこと」と話し、レイヤ2の広域イーサネットのサービス内容を厚くして「欧州に進出する日系企業のニーズに応えたい」と話した。KDDIはロシアで3拠点目となるモスクワ支店を7月中旬に開設する予定で、ネットワーク構築からシステム・インテグレーションまで、日系企業を幅広くサポートする。 2009年1月には英国、フランスにある既存のデータセンターを増床する予定もあり、欧州、ロシアでのインフラ整備を進めている。

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(@IT 垣内郁栄)

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