「Webからの脅威」を絶つにはメールから
電子メールセキュリティをSaaSで提供、トレンドマイクロ
2008/07/14
トレンドマイクロは7月14日、SaaS型の電子メールセキュリティサービス「Trend Micro InterScan Messaging Hosted Security(IMHS)」を発表した。顧客ネットワークのゲートウェイに代わり、トレンドマイクロのデータセンター側でウイルス/スパイウェアやスパムメール、フィッシング対策を実施するもので、ユーザー数1000名以下の中堅/中小企業を中心に提供していく。
同社はこれまで、企業ゲートウェイでウイルス/スパム/フィッシングメール対策などを実施する電子メールセキュリティ製品「InterScan Messaging Security Suite」を提供してきた。IMHSは同製品の機能を、「In the Cloud」で、つまりインターネットを介したサービスとして提供するものだ。ウイルスやスパムメールをブロックするほか、キーワードに基づいたコンテンツフィルタリングを行う。
ポリシー設定やレポートの確認作業などは、Webベースの専用画面を通じて行う。ただし利用に当たっては、DNSサーバの設定を変更し、トレンドマイクロのデータセンターを介してメールが配送されるよう設定する必要がある。
IMHSの特徴は、運用コストを大きく削減できることだ。ゲートウェイに専用ソフトウェアを導入する場合に比べ、ハードウェアや運用のための人的コストを抑えることができる。さらに、トレンドマイクロ側でフィルタリングが行われ、本当に必要なメールのみが手元に届くため、ネットワーク帯域やストレージの節約にもつながるという。
もう1つの特徴は、セキュリティベンダであるトレンドマイクロ自身がサービスを提供すること。ユーザーがパターンファイルのアップデート作業に追われることなく、常に最新のパターンが適用される。また、IPアドレスとドメインという2種類のレピュテーションサービスを活用することで、精度の高いフィルタリングを実現するという。
トレンドマイクロのプロダクトマーケティングマネージャ、岡本元央氏は、近年増加の一途をたどっている「Webからの脅威」では、スパムやフィッシングなどの悪意ある電子メールが侵入の引き金になっていると指摘。「電子メールセキュリティ対策をしっかりやれば、その被害を最小限に抑えることができる」と述べた。また、ウイルスやスパム、フィッシングはそれぞれ単独の攻撃ではなく、複合的に連鎖していることから、個別に対策するのではなく、包括的に対処することが重要だと言う。
IMHSの料金はメールアカウント数に応じて設定され、1000アカウントの場合で1アカウント当たり年額3540円など。8月27日に提供を開始する。
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