アプリケーションの強制終了+証拠写真の取得も
日立ソフト、「内部クラウド」介したクライアントPC管理サービス
2008/10/23
日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)は10月23日、クライアントPCの資産管理やモニタリング、アプリケーションの起動監視などを行う「PC管理・監視サービス」を発表した。VPNを介して仮想環境を貸し出す「SecureOnline」サービスの1つとして提供する。
日立ソフトでは2007年から、データセンター内にVMwareで構築した仮想マシンを用意し、必要に応じてデータベースやミドルウェア、開発・テストツールなどを組み合わせて提供するSecureOnlineサービスを提供してきた。VPNを介してレイヤ2で顧客システムと接続するため、社内LANと同様にシームレスに利用できることが特徴だ。同社はこれを、「インターナルクラウド」と表現している。
PC管理・監視サービスは、この基盤を利用して、本来の業務であるアプリケーション開発などに比べてIT部門の手が回りにくい部分を支援する「ITコンシェルジェ」サービスの1メニューとして提供される。
日立ソフトのデータセンター内に、管理サーバ「DStream Server」を仮想サーバとして構築する。クライアントはネットワークを介してこのサーバにアクセスすると、専用エージェント「DStream Agent」がダウンロードされる仕組みだ。DStream Agentは、PCのインベントリ情報やインストールされているソフトウェアのライセンス情報、アプリケーション実行の動作ログなどを収集し、DStream Serverに送信する。一連の情報は、DStream Serverに組み込まれているMySQLに蓄積され、CVS形式でエクスポートすることが可能だ。
同サービスでは、管理者が定めたソフトウェアの実行を禁止することもできる。DStream Serverに、実行させたくないアプリケーションをリスト(テキストファイル)として登録しておくと、クライアント側でそれに該当するファイルが実行されても、強制的に終了させる。この際、デスクトップ画面をキャプチャし「証拠写真」として保存することも可能で、高い抑止効果が期待できるという。
内部統制や個人情報流出防止といったニーズを背景に、クライアントPCの管理やログ監視、コントロールを行う製品はほかにも多数リリースされている。だが「その多くはどうしてもコストがかかってしまう」(同社、セキュリティサービス本部本部長 中村輝雄氏)。これに対しSecureOnline PC管理・監視サービスは、月額基本料金が3万円、クライアントPC1台当たり月額200円で提供する。「月額5万円で、PC 100台に対して監視ができる。中小企業にとっても導入しやすい金額だ」(中村氏)。日立ソフトでは、こうした中小企業を中心に、今後1年間で100社、1億円の売り上げを目指す。
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