NewsInsight
IPv6環境でも新たに4種類の脆弱性の検査が可能に
組み込み機器向け脆弱性検証ツールの機能を強化、IPA
2009/01/08
情報処理推進機構(IPA)は1月8日、PCや情報家電、携帯端末など、TCP/IPを実装した電子機器向けに提供しているセキュリティ検査ツール「TCP/IPに係る既知の脆弱性検証ツール」の機能を拡張した。IPAに申し込むことで、CD-ROMでの貸出を受けることができる。
このツールは、コンピュータなどに搭載されているTCP/IPを実装したさまざまなソフトウェアに、TCP/IPやICMP、ARPといったネットワークプロトコルに関連する既知の脆弱性が存在しないかどうかを検査するもの。IPAがまとめた「TCP/IPに係る既知の脆弱性に関する調査報告書改訂第4版」にある25項目の脆弱性のうち、IPv4環境で19項目、IPv6環境で5項目の脆弱性を体系的に検証できる。
最初のバージョンは2008年2月6日に公開されている。今回の機能拡張では新たに、IPヘッダオプションのデータ長が0のパケットを受け取ると、機器がフリーズしたりクラッシュしたりして、サービス不能状態に陥る問題についての検証が可能となった。ほかに、IPv6環境での検証項目を強化し、「十分に小さい分割パケットがフィルタリングをすり抜ける問題」「パケット再構築時にバッファが溢れる問題」「ICMPヘッダでカプセル化されたパケットがファイアウォールを通過する問題」についても検査可能となっている。
IPAは同時に、脆弱性の詳細や現在の動向、開発者向けの実装ガイドなどをまとめたTCP/IPに係る既知の脆弱性に関する調査報告書改訂第4版も公開。インターネットに接続する情報家電や携帯端末などのセキュリティ品質向上に寄与することを期待したいとしている。
情報をお寄せください:
Security&Trust フォーラム 新着記事
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。