G DATA Softwareが警告
「即金提供」のバイトのはずがマネーロンダリングの片棒に
2009/01/28
「簡単迅速に稼げる仕事」「短時間で高収入」といったタイトルのスパムメールにつられると、マネーロンダリングの片棒を担ぐことになるかもしれない――G DATA Softwareは1月28日、世界的な経済危機を背景に、マネーロンダリング用の人材をリクルートするためにネット犯罪者が送信するスパムメールが急増しているとし、注意を呼び掛けた。経済危機に便乗し、失職した人を誘い込もうとする巧妙な手口であり、注意が必要という。
同社によると、ネット犯罪者らが送信するスパムメールには、「即金提供」「短時間で高収入」「在宅簡単ビジネス」といったタイトルが付けられており、本文にも「誰でもできる仕事」「簡単に儲かる方法」などと記されている。「簿記や経理業務の経験者を急募、しかも在宅勤務で楽に働ける」など、人材募集を目的としたメールを装っているが、実際に任されるのは、マネーロンダリング。ネット犯罪者らがフィッシング詐欺やネットオークション詐欺などで入手した金銭を、例えば東欧の国などに設けられた雇用主の口座に振り込むよう求められるという。
しかしマネーロンダリングは犯罪であり、組織犯罪処罰法により5年以下の懲役、または300万円以下の罰金を科される。G DATA Softwareは、バイトや小遣い稼ぎの感覚でこうした仕事に手を貸すと、ネット犯罪シンジケートに加担したことになり、摘発を受け逮捕されてもおかしくないと警告する。
ドイツのG DATAラボ所長 ラルフ・ベンツミュラー氏はリリースの中で、「サイバーマフィアたちは現在、金融機関であるかのような名称で人材を募集している」とコメントしている。経済危機の時代だけに、すぐにお金が手に入るという誘惑は大きいが、うっかりこうした仕事に荷担すると、振込人からの損害賠償要求や脅迫、訴訟などの不愉快な思いをするかもしれないと述べ、こうした身元不明なリクルートメールはすぐに破棄すべきとアドバイスしている。
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