緊急時にブート可能なKNOPPIXも搭載
「ウイルス検出率99%」、セキュリティソフト「G DATA」が上陸
2009/02/05
ジャングルは2月5日、ドイツのG DATAソフトウェアと業務提携を行い、総合セキュリティ対策ソフトである「G DATA インターネットセキュリティ 2009」シリーズ(以下、G DATA)を2月19日から販売すると発表した。AV-TEST.orgのウイルス検出率テスト結果が99%を超えることをアピールし、低価格でも高い性能を望む層をターゲットとする。
検知率という数値で勝負するウイルス対策ソフト
G DATAソフトウェア 代表取締役社長のJag 山本氏は「日本のマーケットではウイルス対策ソフトの検知率があまり話題に上らなかった」と指摘する。AV-TEST.orgによるウイルス検出率テストは毎月行われているが、結果にばらつきがあるソフトも多い。中には特定の検知率テストの傾向と対策を読み、テストに合わせたチューニングをするベンダもあるのではないかと指摘する。山本氏はG DATAの検知率が14カ月連続で1位となっている実績を前面に出し、検知率という数字で勝負したいと述べる。
G DATA 2009では2種類の定義ファイルを併用しスキャンを行う「ダブルスキャンエンジン」や未知のウイルスに対応するための「ヒューリスティックスキャン」、また強い感染力を持つウイルスを監視する「アウトブレイクシールド」で検知率を向上させている。これらのウイルス対策機能に加え、迷惑メール防止のためのスパム対策、不正アクセス防止のためのファイアウォール機能を持つ。
USBメモリ版を提供、ミニノートPCでの利用も視野に
G DATA 2009では光学ドライブを持たないミニノートPCへの対応として、USBメモリ版のパッケージの提供も行う。またCD-ROM版およびUSBメモリ版にはブータブルなLinux(KNOPPIX)がインストールされており、緊急時にはLinux版のウイルス駆除ソフトを起動できる。USBメモリの容量は2Gbytesで、1.5Gbytesの空き領域は自由に使える。
市場想定価格は1年版/1台用が3980円、1年版/3台用が4480円、1年版/3台用USBメモリ版が4980円、3年版/3台用が1万1000円、バックアップ機能と最適化機能を加えた「G DATA インターネットセキュリティ プラス 2009」は6980円。パッケージ版を5月31日までに購入した場合、さらに6カ月の使用権をプレゼントするキャンペーンを実施する。
価格.comを襲ったウイルスも検知していた
会見では@ITで「Security&Trustウォッチ」を連載する、トライコーダ 代表取締役 上野宣氏がウイルスの脅威について講演した。情報処理推進機構(IPA)が発表するウイルス届出件数の推移は2005年を境に減少しているが、これは攻撃が少なくなったのではなく「脅威の見えない化」によりウイルスを検知できなくなったのではないかと指摘する。
上野氏は2005年に発生した価格.comの事例を取り上げた。このときに利用されたウイルスは「trojandownloader.small.AAO」「PSW.Delf.FZ」であったが、当時これを検知できたのはキヤノンシステムソリューションズの「NOD32アンチウイルス」だけであることが報じられた。しかし、実はその時点でも、G DATAのウイルス対策ソフトウェアはこれを検知できていたとのことだ。
見えなくなった脅威への対策としては、技術的な対策とともに、最新の情報を収集することが重要である。しかし一般の利用者が最新の情報を集め続けることに期待はできないと上野氏は述べる。そのためにも、ウイルス対策ソフトを提供するベンダの協力が不可欠であると指摘した。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。