認定プログラムやインターフェイスの日本語化も
「他社UTMより10倍速い」、ソニックウォール
2009/02/26
ソニックウォールは2月26日、事業戦略説明会を開催した。米ソニックウォールの社長兼CEOのマット・マディロス氏は、Reassembly Free DPI(RFDPI)やマルチコア対応といった技術を軸に差別化を図り、成長を目指すと述べた。
ソニックウォールは、ファイアウォールやVPN、IDS、ゲートウェイでのアンチウイルス/アンチスパイウェアといった複数のセキュリティ機能を1つの筐体で提供する、UTMアプライアンスを開発、提供している。当初は中小規模企業向けの製品が中心だったが、徐々にラインアップを拡大。中小企業向けの「TZ」シリーズ、中規模企業向けの「NSA」シリーズから大規模エンタープライズ向けの「E-Class NSA」と、3種類のアプライアンスを提供している。
マディロス氏は改めて、昨今のインターネット上の脅威は「迷惑行為」の域を超え、金銭的被害をもたらすものになっていると指摘した。同社の調べによると、2008年末の3カ月間に検知した攻撃件数は、1〜9月のそれよりも多かった。つまり、年末になって激増しているわけだが、「これには経済不安の影響があると見ている。経済環境が悪くなれば犯罪は増える。サイバー脅威もその例外ではない」(同氏)。
これに対しソニックウォールでは、引き続きセキュリティに注力していくという。「経済危機のさなかであっても、デジタルセキュリティは不可欠」(マディロス氏)とし、TCO削減に寄与するソリューションを提供していく方針を表明した。特に、パケットの再構築が不要なディープパケットインスペクション技術であるRFDPIやマルチコア対応により、高いパフォーマンスを実現することが特徴という。米Network World誌や米・欧の第三者機関のテストによると、「他社のUTMに比べてスループットは10倍だ」と同氏は説明した。
2009年は、UTMに搭載するソフトウェアソリューションを強化する計画だ。具体的には、アプリケーションファイアウォールやSSL VPN機能を追加するほか、電子メールセキュリティ機能も強化するという。また、サブスクリプションサービスの充実にも取り組む。さらに国内での販売強化策として、同社の認定プログラムの日本語化を進めるほか、ユーザーインターフェイスやマニュアルの日本語化、サポートサービス機能の充実を図っていく。
中小規模の企業では、SaaS型のセキュリティサービスを採用するという選択肢もあるが、マディロス氏はそれはUTMの存在を入れ替えるものではないと述べた。むしろ「UTMはマネージドサービスのイネーブラ」(同氏)。境界部分にハードウェアを置く必要はあるが、ソニックウォールのパートナーの中にも、同社アプライアンスを活用したマネージドセキュリティサービスを展開しているところがあるという。
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