「受け取ったUSBメモリについても注意が必要」
USB利用時のセキュリティ対策は? IPAが調査
2009/03/31
情報処理推進機構(IPA)は3月30日、インターネット利用者を対象とした「2008年度第2回 情報セキュリティに関する脅威に対する意識調査」の結果を公表した。これによると、USBメモリを利用しているユーザーは増えているが、その使用に際してセキュリティ対策を施しているユーザーは3分の1程度にとどまるという。
この調査は、個人ユーザーの情報セキュリティに対する認知や理解、意識などを把握することを目的としたもの。1月16日から19日にかけてWeb上で実施され、15歳以上のインターネット利用者5000人から回答を得た。
IPAでは毎月、ウイルスや不正アクセスの届出動向をまとめているが、近年特に、USBメモリを介して感染を広めるタイプのウイルスが増加しているという。この傾向を背景に今回の調査では、USBメモリ利用時のセキュリティ対策について尋ねた。
回答者の59.2%がUSBメモリを使用しているほか、12.4%は現在は使用していないものの、以前USBメモリを使用していた。また、USBメモリ利用者の13.8%は、他の人のUSBメモリを自分のPCで使用している。「自分が所有しているUSBメモリだけでなく、受け取ったUSBメモリについても注意が必要な状態だ」(IPA セキュリティセンター ウイルス・不正アクセス対策グループリーダーの小門寿明氏)。
ではその対策状況はどうかというと、「出所不明のUSBメモリ、セキュリティ面で信用できないUSBメモリを使用しないようにしている」という回答が50.2%、「ネットカフェなどの公共のコンピュータやセキュリティ対策が不明なコンピュータでUSBメモリを使用しないようにしている」が41.3%あった。ただ、こうしたリスク回避的な対策にとどまらず、積極的にウイルスチェックを行うユーザーは少数派だ。「USBメモリの自動実行をさせない」は18.5%、「USBメモリ内のファイルを開く前には必ずウイルスチェックをする」は14.7%という結果だった。
小門氏はこの状況に対し、「USBメモリ利用時のセキュリティ対策を取っているつもりでも、実はあまり有効ではない対策だったりすることも多いのではないか」とコメントしている。
また、特にUSB利用時の対策を挙げない=対策を実施していないユーザーは33.0%だった。
今回の調査では、無線LAN利用時のセキュリティ対策状況についても尋ねた。無線LANに関する被害やトラブルについて、詳細に理解しているユーザーは20%強にとどまるほか、脆弱であることが指摘されたWEPを暗号化に利用しているユーザーが21.7%、どのような暗号方式を利用しているか自分でも分からないと回答したユーザーが23.8%あることが明らかになった。
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