3ラインアップの「いいところ取り」を目指す
チェック・ポイント、旧ノキア買収後の統合戦略を発表
2009/05/12
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは5月12日、ノキアのセキュリティ・アプライアンス部門買収後の製品統合戦略について説明した。
チェック・ポイントは2008年12月に、ノキアのセキュリティ・アプライアンス部門を買収することを発表した。4月の買収作業完了にともない、従来チェック・ポイントが提供してきた「UTM-1シリーズ」「Power-1シリーズ」に、旧ノキアの「IPアプライアンス」が加わり、3種類のUTMラインナップがそろうことになる。「これにより、ソフトウェアベンダからアプライアンスベンダへの転身が完了することになる」と同社代表取締役社長の杉山隆弘氏は述べ、「セキュリティアプライアンス市場におけるリーダーを目指す」とした。
旧ノキアは、チェック・ポイントと提携を結び、独自OS「IPSO」の上にチェック・ポイントのセキュリティソフトウェアを搭載したアプライアンスとして、IPアプライアンスを提供してきた。「IPルータとしての機能が充実していることが特徴」(同社セキュリティ・コンサルティング本部 安藤正之氏)で、ほかにもネットワークモジュールの増設による拡張性やVRRPサポートによる冗長性、アクセラレーションカード(ADP)によるパフォーマンスの向上といった部分に優れている。ただ一方で、UTM-1/Power-1が提供しているメッセージングセキュリティなどの機能には欠けていた。

一方チェック・ポイントのUTM-1およびPower-1シリーズは、前者は包括的なセキュリティ機能を提供するエントリ向け製品、後者は高いパフォーマンスと保守性を特徴とするハイエンド機で、いずれも「SPLAT」OSの上にセキュリティソフトウェアを搭載している。ただし、IPアプライアンスとは異なり、パフォーマンスアクセラレーションはソフトウェア(CoreXL)に頼っている。
買収にともない、これら3つのラインナップの「いいところ取り」を目指し、3段階で統合を進める。
第1段階では、IPアプライアンスにチェック・ポイントのライセンスをバンドル。IPSO上でチェック・ポイントのセキュリティソフトウェアの最新版「R70」をサポートする。このバンドル版製品は、6月にリリースされる予定だ。続いて、SPLATとIPSOという2つのOSの統合に取り組む。具体的には、VRRPをはじめとする冗長化機能を取り入れる計画だ。最後の段階でハードウェアの統合を進める。合わせて、運用管理やプロビジョニングといった機能についても統合を図っていく。
杉山氏は、「IPSOなどの特徴を維持した、連続性のあるコンパチビリティの確保が重要」と述べるとともに、旧IPアプライアンス製品のサポートを確実に継続することも目標であると指摘した。もともと長年にわたってパートナーシップを結んできたこともあり、旧ノキア側ではチェック・ポイント製品の、チェック・ポイント側ではノキアの製品をそれぞれサポートできることも特徴だという。「どちらかを選んでいただくのではなく、適材適所で選択できるようになる」(安藤氏)。また、今後登場するであろう、両社の技術を統合した新しいアプライアンスへのスムーズな移行も実現していくという。
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