アイデンティティ管理の主要団体が歩み寄り
OpenIDもSAMLも一緒に議論、新団体「Kantara」発足
2009/06/18
これまで緩やかな連携で規格策定や相互運用に取り組んできたアイデンティティ管理関連の主要団体が歩み寄り、グローバルな新団体、「カンターラ・イニシアティブ」(Kantara Initiative)を6月17日に発足した。
カンターラ・イニシアティブは、コンコーディア・プロジェクト、DataPortabilityプロジェクト、リバティ・アライアンス、オープンリバティ.org、XDI.orgが中心となって結成した組織。発足時点で、オラクル、インテル、野村総合研究所、NTT、インターネット・ソサイエティ、AOL、BT、CA、PayPal、サン・マイクロシステムズからの代表者らが参加している。初代理事長には、オラクルでアイデンティティ管理ソリューションを担当するバイス・プレジデントで業界団体リバティ・アライアンスのバイス・プレジデントでもあるロジャー・K・サリバン(Roger K. Sullivan)氏が就任する。
“Kantara”はスワヒリ語で“橋”の意味。その語源となったアラビア語では“ハーモナイゼーション”(調和)を意味し、これまで分断されていたアイデンティティ管理業界をオープンな議論の場で緩やかにまとめるという同団体のスタンスを表している。これまでアイデンティティ管理のための仕様は、エンタープライズ業界、Web業界などが個別に標準化を行ってきたため、共通のユースケースや利用目的に対して作業や規格が重複することがあった。これまでにも関係者らがオープンなメーリングリストや部分的プロジェクトで協力することはあったが、カンターラは、そうした横の連携を、大きな1つの組織体制にまとめ上げたものと言える。
カンターラには、それぞれの業界・企業の代表者や専門家、政府関係者がオープンに議論に参加する場を提供することで、アイデンティティ管理技術の普及促進を目指す。具体的にはIAF、ID-WSF、IGF、Information Card、OAuth、OpenID、SAML 2.0、WS-*、XACML、XDIといった標準規格の相互運用性が高まるものと期待できる。発足当初は20個のディスカッショングループが存在していて、参加者は自由にディスカッショングループ開始の提案ができるという。
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