国内でのパートナーシップ拡大も
エフセキュアの事業戦略は「SaaSに注力」
2009/06/25
フィンランドのセキュリティベンダ、エフセキュアは6月24日、日本法人の設立10周年イベントを開催した。これに合わせて来日した社長兼CEOのキモ・アラキオ氏は、「SaaSは今後、支配的なビジネスモデルになるだろう。その中で我々は『Security as a Service』の拡大に取り組んでいきたい」と述べ、セキュリティサービス事業に注力する方針を強調した。
同社はクライアントPCやサーバ向けのセキュリティ対策ソフトを開発、販売するほか、インターネットサービスプロバイダー(ISP)と連携して、ウイルスやスパイウェア、マルウェアをブロックするほか、侵入防止やスパム制御といった対策をセキュリティサービスとして提供している。アラキオ氏の説明によると、全世界で190社を越えるISPをパートナーとし、ユーザー数は5500万人以上に上る。日本でも13社のISPをパートナーとしているが、引き続きこのビジネスを拡大していく方針だ。
エフセキュアのCRO(セキュリティ研究所主席研究員)、ミッコ・ヒッポネン氏は、インターネット上の脅威が変化し、マルウェアの数が増加していることに触れた。「状況はますます悪くなっている。それらを検出するためのリストが長大になって、クライアント側で必要とするメモリ容量も増えた」とヒッポネン氏は述べ、代わりに、データセンター側に情報を集約し、ファイルのハッシュ値を比較する方法によって、その負荷を減らすことができるとした。
「SaaS型がいいと考えている。ユーザーが専門家である必要もないし、どのようにシステムを保護するかに頭を悩ませる必要もない」(ヒッポネン氏)。
日本法人代表の桜田仁隆氏によると、従来型のセキュリティ製品に対するSaaS型サービスの比率は、まだそれほど高くないという。しかし、厳しい経済状況を背景に、初期投資が少なくてすむSaaSに対する需要は高まっており、「今年は1つのターニングポイントになるだろう」(同氏)という。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください: tokuho@ml.itmedia.co.jp
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。
Security & Trust 記事ランキング
- Windows 11、Microsoft Officeなどが対象 早急な適用が必要な更新プログラムをMicrosoftが公開
- ニセ従業員など新たな手口をふくめ、AIを悪用する詐欺をESETがまとめて指摘 どう対策すればいいのか?
- ドメイン名まで確認する人でも引っ掛かる? チェック・ポイントが新たなフィッシング詐欺の注意喚起
- 日本企業の約8割が「VPN利用を継続」。一方、ゼロトラスト導入済み企業は2割を超える NRIセキュア
- 2025年のサイバーセキュリティは何が“熱い”? ガートナーがトップトレンド6選を発表
- 古いソフト/ファームウェアを狙うランサムウェア「Ghost」で70カ国以上の組織、多数の中小企業が被害に 対策は?
- “ゼロトラスト”とトラスト(信頼性)ゼロを分かつものとは――情報セキュリティ啓発アニメ「こうしす!」監督が中小企業目線で語る
- 終わらせましょう。複雑過ぎるKubernetes/クラウドネイティブが生む心理的安全性の低下を――無料でクラウドセキュリティの勘所が分かる130ページの電子書籍
- 「透明性向上が狙い」 Mozilla、「Firefox」に利用規約を導入した理由を説明
- 企業は「生成AIのデータローカライズ問題」にどう対処すべきか Gartnerがリスクを軽減するための戦略的アクションを解説
- 日本企業の約8割が「VPN利用を継続」。一方、ゼロトラスト導入済み企業は2割を超える NRIセキュア
- ドメイン名まで確認する人でも引っ掛かる? チェック・ポイントが新たなフィッシング詐欺の注意喚起
- 古いソフト/ファームウェアを狙うランサムウェア「Ghost」で70カ国以上の組織、多数の中小企業が被害に 対策は?
- 日常茶飯事の「サプライチェーン攻撃」のカオスな実態とは?「セキュリティのアレ」の3人が事例から解き明かす
- Windows 11、Microsoft Officeなどが対象 早急な適用が必要な更新プログラムをMicrosoftが公開
- 2025年のサイバーセキュリティは何が“熱い”? ガートナーがトップトレンド6選を発表
- 「人材不足は生成AIで」は誤解? 大阪大学 猪俣教授が提言する、セキュリティ人材育成/自動化に必要な意識
- サイバー攻撃からの復旧時間、世界平均は10.9カ月、日本企業の平均は? ファストリー調査
- 被害額は平均で73万円、最大ではなんと1億円 IPAが中小企業のセキュリティを調査
- 「サービスアカウント」「ロール」「API」「アクセスキー」などの“非人間アイデンティティー(NHI)”に潜むセキュリティリスクTOP 10 OWASPが発表