メールより大きいWebのリスク
HDE、Web閲覧は許可しつつ書き込みをブロックする対策ソフト
2009/07/08
HDEは7月8日、掲示板への書き込みやブログへのコメントによる情報流出を防ぎ、企業イメージを損なわないようにする情報漏えい対策ソフトウェア「HDE Web Cop」を発表した。Red Hat Enterprise Linux 5.3で動作する。価格は100ユーザーで94万5000円からで、7月27日に販売を開始する。
HDE Web Copは、Webメールや掲示板、ブログなどへの書き込みを通じた情報漏えいの防止に特化したセキュリティソフトウェアだ。Webプロキシとして動作し、許可されたサイト以外へのPOST送信を禁止する。同時にWebアクセスへの履歴を保存し、いつ、どんなサイトへの投稿が行われようとしたかを、POSTの内容も含めて保存する。Pythonを用いて、同社が一から開発を行った。
特徴は、SSLで暗号化された通信についても内容を取得できること。また、LDAPサーバやActive Directoryとの連携が可能なため、どのユーザーがWebリクエストを発行したかを把握できる。
電子メールの誤送信といった場合は相手が特定できるため、何らかの対処が可能であるのに対し、Webで掲示板などに書き込んでしまった場合、不特定多数の人が閲覧できるため、相手を特定し、トラックすることは実質的に不可能だ。また逆に、「Webは匿名性が高い」という思い込みによって不用意に掲示板に書き込みを行うと、IPアドレスを基に、書き込み基が容易に把握できてしまう。
こういった要因を踏まえると、メールに比べWebへの書き込みによるリスクは大きいと同社はいう。ただし、インターネット上には有用な情報が大量に存在することも事実であり、一律にフィルタリングしてしまっては、そうした情報を有効活用する機会が損なわれる。
そこでHDE Web Copでは、さまざまなサイトへのアクセスは許可しつつ、書き込みやWebメールの送信をブロックすることで、情報を活用しながら漏えいのリスクを抑えるアプローチを採用した。情報漏えいの防止に加え、フィッシングサイトへの情報入力を防止し、被害を未然に防ぐことにもつながるとしている。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。