セキュリティ対策ソフトにも“革命”を
ネットブックに特化したウイルス対策ソフトを無料で提供
2009/07/15
キングソフトは2009年7月15日、ネットブックをはじめとする低スペックのPCでの利用に特化した「Kingsoft Internet Security U Service Pack 1 quick」(以下、SP1 quick)のリリースを発表した。同社が2007年より提供している「Kingsoft Internet Security U」からKingsoft Security Care(脆弱性診断ツール)を外し、ウイルス対策機能とパーソナルファイアウォール機能に特化したパッケージとして、初期費用、更新料ともに無料で提供する。
SP1 quickはネットブック向けにチューニングを施した製品で、スキャンの時間、CPU使用率、メモリ使用率、インストールに必要なディスク容量を極力抑えるように修正が加えられている。具体的には、旧バージョンのOffice製品で動作するマクロウイルスなど、ネットブックでは対策の必要性が薄いシグネチャを削除することで、パターンファイルデータベースのサイズを10分の1程度までに圧縮したという。この結果、同社の既存製品に比べスキャンスピードが高速化するだけでなく、CPU占有率、メモリ使用量が下がったという。そのほか、SP1 quickには2010年に発売予定の次期バージョンのエンジンを一部取り入れているという。
「ソフトウェアはネットブックの“革命”に追い付いていない」
キングソフト 代表取締役社長の沈海寅(しん かいいん)氏は、発表会の冒頭でネットブックのシェアが躍進していることに触れ、ネットブックがPCの使い方を変えつつあることを指摘した。従来はCPUパワーは右肩上がりで伸びていくことを前提にソフトウェアを開発していたが、ハードウェアにはネットブックの登場という“革命”があり、新たな市場が登場した。しかし沈氏は「ソフトウェアはその革命に追い付いていない」と述べる。セキュリティ対策ソフトの動作の重さは各ベンダの製品で改善が見られるものの、依然としてネットブックにおいてはオーバースペックな状況であり、そのためネットブックに特化した製品をリリースしたと述べた。
SP1 quickは無償のダウンロード版に加え、パッケージとしても販売を行う。無料版は従来のPC向け製品と同様に広告モデルを採用しており、PCの起動後、デスクトップの右下に一定時間広告が表示されることにより、初期費用、更新料ともにゼロ円で利用が可能。パッケージ版、有料ダウンロード版では初期費用(価格未定)がかかるが、広告は表示されない。
SP1 quickは本日よりキングソフトのサイトからダウンロード提供される。パッケージ販売は2009年初秋に発売する予定。動作環境はWindows 2000/XP/Vistaで、Windows 7にも対応予定。
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