既存のプリンタをそのまま活用して情報漏えい対策
プリント出力はICカードで認証してから、富士通
2009/08/26
富士通は8月26日、プリントアウト時にICカードで認証を行うことで紙を介した情報漏えいを防ぐ「認証印刷ソリューション」を発表した。プリンタにICカードリーダをつないで認証を行うことにより、本人以外が紙出力を行えないようにする。
認証印刷ソリューションは、印刷管理を行う「Interstage Print Manager」および認証印刷機能を提供する「EcoGate Print for Print Manager」という2種類のミドルウェアを搭載したプリンタサーバと、プリンタに搭載するICカードリーダから構成されている。
ユーザーがPC上で印刷を実行すると、データは通常通りにスプールされるが、プリンタに接続されたカードリーダに登録されたICカードをかざさない限り、出力は行われない。これにより、ほかのユーザーが出力した紙を誤って持ち去ったり、盗み見たりするといった事故を防ぎ、ひいては情報漏えいリスクを減らすことができるという。認証にはType AもしくはFeliCa方式のICカードが利用でき、携帯電話を利用することも可能だ。
特徴は、既存の環境を最大限に生かしながら認証機能を追加できることだ。プリンタの機種は特に限らず、PC側に新たに専用のドライバを導入する必要もない。また、仮想プリンタドライバ方式でもないため、とじしろの設定や差し込み印刷といった既存のプリンタの機能をそのまま利用できる点もメリットという。帳票の印刷時に嫌われがちなわずかなズレも避けることができる。
認証印刷ソリューションではまた、いつ、どのユーザーが何枚印刷を行ったかという情報を管理し、それに要したコストをレポートとして出力することが可能だ。無駄に多くの印刷がなされていないか、両面印刷は活用されているかなど、印刷状況を「見える化」することにより、社員の印刷コストに対する意識を高め、コスト削減につなげることができる。実際に富士通が社内で導入したところ、用紙やトナーに要していた印刷コストを58%削減することができたという。
価格は、Interstage Print ManagerとEcoGate Print for Print Managerがそれぞれ30万円、ICカードリーダは1台当たり4万円。1000人規模、プリンタ50台の環境で導入すると約400万円となる計算だ。
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