Macintosh向けウイルス対策ソフトもリリースへ
「みんなの力」で最新マルウェアに対抗、カスペルスキー
2009/09/01
ジャストシステムは9月1日、ロシアのカスペルスキーラブスが開発するセキュリティ対策ソフトの最新バージョン「Kaspersky Internet Security 2010」を10月16日に販売することを発表した。
Kaspersky Internet Securityは、ウイルス/スパイウェア対策に加え、不正アクセス防止や迷惑メール対策といった複数の機能を提供するセキュリティ対策ソフトウェアだ。定義ファイルに基づくマッチングに加え、振る舞い検知やヒューリスティック、アプリケーションの動きを監視して制御する「HIPS」といった技術により、未知のウイルスについても検出、防御できることが特徴だ。
新バージョンでは、従来からの検出技術に加え、ユーザーからの情報を集約して未知のマルウェアに関する情報をリアルタイムに収集、解析する「コレクティブディフェンス」というアプローチを採用した。ユーザー側で不審なファイルに対してスキャンを実行し、そのハッシュ値を「カスペルスキー セキュリティ ネットワーク(KSN)」を通じて収集、解析する。問題ないと判断したものはホワイトリストに、脅威と判断されるものは「緊急検知システム(UDS)」に約40秒で登録され、最新の情報に基づいて未知のマルウェアを検出できるようにする。
カスペルスキーラブスジャパン 代表取締役社長の川合林太郎氏は、マルウェアが増加する一方であることを踏まえると、コレクティブディフェンス的な方法が必要になると述べ、これは「すべてのユーザーとわれわれが共同でサイバー犯罪に立ち向かうもの」だと述べた。
またカスペルスキーによると、登場してから24時間以内にその寿命を終えてしまうマルウェアも少なくないが、それらすべてを定義ファイルに登録していては、リアルタイムの対処が困難な一方で、ファイルサイズは無駄に大きくなってしまう。そうした状況を打開する上でも、KSNを利用した情報収集は有効だという。
Kaspersky Internet Security 2010ではほかに、アプリケーションコントロール機能を強化し、KSNと連携してアプリケーションの信頼度を判断するできるようにしたほか、サンドボックス技術を利用し、仮想システム内で疑わしいファイルを動作させる「仮想実行スペース」といった機能を追加した。またヒューリスティック技術については、従来のモジュール更新に代わり、配信される定義ファイルに基づいて、より最新の情報に基づいて振る舞い検知を行えるようにした。
Kaspersky Internet Security 2010の対応OSはWindows XP/Vistaで、12月上旬にはWindows 7対応版を提供する予定だ。価格はパッケージ版が6800円、ダウンロード版は4680円。
また同社は、Macintosh向けのウイルス対策ソフト「Kaspersky Anti-Virus for Mac」を11月13日に発売することも発表した。
Macintoshのシェアは堅調に伸びているが、それゆえにボットオーナーやサイバー犯罪者にとっても魅力的なプラットフォームになっており、事実、Macintoshを狙うトロイの木馬などは増加しているという。Kaspersky Anti-Virus for Macはそうした背景からリリースされるものだ。ファイアウォール機能などは備えていないが、定義ファイルに基づいてウイルスやワーム、スパイウェアなどからMacintoshを保護するという。対応OSはMac OS X 10.4.11以上で、価格はパッケージ版が4900円、ダウンロード版は3900円。Snow Leopardへの対応も予定している。
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