BIOSベースのエージェントで遠隔管理

盗難PCを追跡して回収、Computraceが日本上陸

2009/09/30

 カナダのAbsolute Softwareは9月30日、PCの追跡・管理サービス「Computrace」の日本語版を提供していくと発表した。これまで北米に2個所、ヨーロッパに1個所あった拠点に加えて、東京オフィスを開設。リセラー、SIer、コンサルティング会社などを通して販売活動を本格化する。

absolute01.jpg Absolute Software バイスプレジデント グローバル・コーポレート・デベロップメント担当 ウィリアム・パウンド(William Pound)氏

 Computraceは企業が管理するPCやスマートフォンなど、エンドポイントとなるデバイスを管理するサービス。OS上に常駐するエージェントだけでなく、BIOSに組み込まれたエージェントとの2段構えでPCの追跡ができるのが大きな特徴。盗難されたPCでOSのクリーンインストールを行っても、再びBIOS上のエージェントがOS用のエージェントを再びダウンロードしてインストールするという。Computraceのエージェントは、ASUS、デル、富士通、hp、レノボ、東芝、パナソニックといった大手PCベンダの主要モデルに組み込まれていて、OS上にエージェントをインストールすることでアクティベートされる仕組み。

 エージェントはネット接続が確立されたタイミングで、毎日構成情報を自動送信する。レポートには、ハードウェア・ソフトウェアの構成情報、周辺機器情報、ハードディスクの容量情報といった基本情報に加えて、無許可のソフトウェア情報なども含まれる。リース期限も管理できる。

 管理側サービスはSaaSとして提供される。管理者はAbsolute SoftwareのWebサイトにログインすると、管理下にあるデバイスの状態を把握できるほか、遠隔操作でパスワードロックやデータ消去ができる。

console01.jpg 管理サービスはSaaSとして提供され、Webブラウザからアクセスできる
console02.jpg 遠隔でデータ削除コマンドを発行する場合、消去対象や消去手法を選べる。また、コマンド発行には2時間の時限付き承認トークンの入力が必要で、誤操作や軽率な消去を防ぐ仕組みもあるという

 盗難、紛失時には管理画面から当該PCのステータスを変更する。もし、当該PCがネットワーク接続を確立できる状態であれば、ただちに15分おきにレポートを送るようになる。スクリーンキャプチャ、Webカメラによる周囲の撮影などを行い、盗難の場合であれば、捜査当局に盗難届とともに提出することで、追跡と回収が可能。GPSやWi-Fiがある場合には位置情報も利用する。Absolute Softwareには盗難回収チームとして、グローバルで45人の元捜査当局経験者が勤務しているという。

 盗難の可能性がある場合には、管理画面からPCのロックも行える。この遠隔コマンドはvPro搭載のインテル製プロセッサに装備される「Anti-Theft」(関連記事:Nehalem世代のモバイルプラットフォーム「Capella」が動いたっ!)と協調して動作し、起動中のOSを強制シャットダウンし、次回起動時にワンタイムパスワードを要求する、といった手段を講じることとができる。

pass.jpg Anti-Theftを使って、PCを遠隔ロックできる

 遠隔データ消去については、全データ、OS以外の全データ、ファイルやフォルダ単位での消去が可能。あらかじめ消去対象を指定したポリシーを設定することもできる。消去方法は一般的な消去ツール同様に米国立標準技術研究所(NIST)が規定する方式のほか、速度優先などレベルを指定可能。

 製品はWindows 2000/XP/Vista/7のほかWindows ServerやMac OS Xにも対応する。資産管理、デバイスセキュリティ、盗難回収など機能マトリクスに応じて5種の製品がある。スマートフォンは、Windows Mobile、BlackBerry、Symbian OS S60に対応する。

 Absolute Softwareは1993年創業で、PCの盗難・紛失時の回収やデータ保護サービスの草分け。エージェントがアクティブなデバイスは、ワールドワイドで現在400万台存在するという。

(@IT 西村賢)

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