マルチコア化でパフォーマンスとのトレードオフを解決
ティッピングポイント、レピュテーションDBを活用した新IPS
2009/11/10
IPSアプライアンスの専業ベンダ、ティッピングポイント・テクノロジーズ日本支社は11月10日、IPv6対応やマルチコア化などを図った新しいIPSアプライアンス「TippingPoint Nシリーズ」を発表した。
同社はIPS(Intrusion Prevention System)に特化したセキュリティベンダだ。「創業当時、IDS(Intrusion Detection System)の派生でIPSを開発する企業が多かった中、最初からIPSに狙いを定めて開発してきた」(日本支社カントリーマネージャーの谷口忠彦氏)といい、高いパフォーマンスを特徴とするインライン型IPSアプライアンス「TippingPoint IPS」シリーズを提供してきた。
Nシリーズの特徴は、新しい脅威抑制エンジン「Threat Suppression Engine」を搭載したことだ。同時に、マルチコアのハードウェアを採用することで、複数のディープパケットインスペクション処理を並列処理できるようにした。「従来はフィルタを増やすとパフォーマンスへ悪影響が生じるというトレードオフがあった。マルチスレッド対応のNシリーズでは並列処理が可能で、パフォーマンスとのトレードオフを回避できる。また、単一のシステム上に複数の仮想IPSを動かすことも可能になる」(米ティッピングポイント・テクノロジーズの製品ラインマネジメントディレクター、ジェームス・コリンズ氏)。
また、「デジタルワクチン(DV)」と呼ぶシグネチャに基づくブロックだけでなく、IPアドレスのレピュテーションデータベースを組み合わせて、攻撃を仕掛けてくるトラフィックを遮断することも可能になった。トラフィック送信元のIPアドレスのレピュテーションスコアを参照し、IPSでインスペクション処理を行う前に、データフローそのものをブロックする仕掛けだ。
「最近の脅威は、高度に組織化された、いわば『ケイレツ化』された犯罪組織によって、金銭を盗み取ることを目的に行われている。レピュテーションデータベースを利用することにより、こうした犯罪組織が仕掛けてくるボットネットからのトラフィックやWebを介した攻撃、さらにはSQLインジェクションをはじめとするWebアプリケーションを狙う攻撃などをブロックすることができる。データベースは1日に数回アップデートされるため、攻撃元のIPアドレスが変化しても対処可能だ」(コリンズ氏)。
Nシリーズではほかに、IPv6およびトンネリングプロトコルのサポート、ポリシー管理機能の強化、データセンター向けのVLANトランスレーション機能などが追加されている。スループットが750Mbpsの「TippingPoint 660N」、1.5Gbps対応の「同1400N」、3Gbps対応の「同2500N」および5Gbps対応の「同5100N」という4モデルがあり、価格は720万円からとなっている。
日本支社では、Nシリーズの投入に加え、新たなチャネルパートナーの開拓やサービスプロバイダーとのパートナーシップ提携などを通じて国内での販売を拡大し、3年後に10〜15億円規模の売上げを目指すという。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。