中小企業でもセキュリティ一元管理の徹底を
「100人規模が分水嶺」、シマンテックが対策実態を調査
2009/11/11
シマンテックは11月11日、ユーザー企業におけるPCやサーバのセキュリティ対策の実態調査結果を発表した。この結果、従業員規模100人未満の企業とそれ以上の企業とで、対策のあり方に大きな違いがあることが分かったという。
「クライアントセキュリティ製品調査」は、2009年4月16日から23日にかけて、従業員数1000人以下の企業のクライアント/サーバセキュリティ製品導入決定者を対象に行われた。回答数は861件で、うち100人未満の規模の企業は267件、100〜500人未満が324件、500〜1000人未満は270件だった。
これによると、一口に「中堅・中小規模企業」とくくられがちな規模でも、従業員数が100人未満か100人以上かで、セキュリティ対策に違いが見られた。例えば100人未満の企業では、69%が集中管理機能を持たない個人向け製品を導入しているのに対し、100〜499人規模では78%、500〜1000人規模では77%が企業向け製品を導入している。また100人未満の企業では、管理サーバによる一元管理を行っている企業は25%にとどまる一方、100〜499人規模では62%、500〜1000人規模では76%に上った。
シマンテックのソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャ 広瀬努氏は、この結果を踏まえ、「中小企業やSMBとひとくくりに言われる中にも、100人規模を1つの分水嶺として2つのグループがあり、傾向が異なる」と述べた。そして、定義ファイルの確実なアップデートなどを実現するためには、きちんと一元管理を行う必要がある」とし、従業員数100人未満の企業に対しても、運用管理を徹底することの必要性や重要性を訴えていきたいと述べた。
「中小企業であれ、企業である以上は社会につながっている。特に、インターネットの存在によってダイレクトにつながるようになった現在、情報漏えいなどの事件が起こらないようにする責任がある」(広瀬氏)。
なおこの調査では、この1年以内にウイルスやワーム、スパイウェアなどに感染した経験があるかどうかも質問した。この結果、100人未満の企業では感染経験があるという回答が13%だったのに対し、100〜499人では31%、500人〜1000人では33%に上った。ただこの数字も、「企業として感染を把握していないということを意味するのであって、管理していない、ログなどを取っていないということの表れではないか」と広瀬氏は説明している。
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