トレンドマイクロが「可視化」の必要性を説明
「対策してるのにウイルス感染」の解消にはモニタリングを
2009/12/01
「ウイルス対策を実施しているのに、感染を防ぎきれない」――トレンドマイクロは11月30日に開催した説明会において、多くの企業がこうした悩みを抱えていることを指摘した。同社 Threat Monitoring Center シニアスレットリサーチエンジニアの小松優介氏は、モニタリングを通じて脅威の動きを可視化することにより、有効な対策を実施できているかどうかを把握できると説明した。
小松氏によると、ウイルスをはじめとする不正プログラムの量は増加の一途をたどっている。同時に、次々と新しいマルウェアをダウンロードしてくるダウンローダや偽セキュリティ対策ソフトに見られるとおり、手段も巧妙化する一方だ。この結果、「『ウイルス対策ソフトを最新の状態に保ち、不審な添付ファイルはクリックしない』といった従来の方法では、なかなか感染を防ぎきれない」(同氏)という。
もう1つ管理者の頭を悩ませているのは、企業の拠点が増え、システム構成が複雑化していること。この結果、特に海外拠点ではセキュリティ対策を徹底することができなかったり、どんな脆弱性が残っているかを把握するのが困難になる。
トレンドマイクロでは、企業ネットワークの監視と状況の分析を行う「Trend Micro Threat Management Solution」(TMS)を提供している。同サービスを利用している企業のうち、「インシデントがまったく発生しなかったというケースはゼロ。すべての企業で何らかのインシデントが起こっている」(小松氏)ということだ。
ある企業の事例では、海外拠点の端末がマルウェアに多重感染し、リモートから操作可能な状態にあったことが判明した。「日本国内の端末は一通り対策を行っていたが、海外は現地の管理者任せになっており、適切に対策がされているかどうか、つかみにくい状態だった。こうした環境では、モニタリングによる可視化が必要だ」(小松氏)。
「Webからの脅威は単発では終わらず、すべての攻撃が相関している。モニタリングやアセスメントを通じて、独立したインシデントとしか見えてこなかった事象をひも付け、線でつなげることができる」(同氏)。脅威の間の関連性を可視化することによって、既存の対策の有効性を見直し、何を優先すべきかという投資判断も下しやすくなるという。
「セキュリティ対策においてはPDCAサイクルを回すことが重要だと言われているが、この中でも『C(Check)』の部分は抜け落ちるきらいがある。モニタリングを通じてセキュリティ対策の有効性を可視化し、検証することによって、PDCAサイクルをスムーズに進めることができる」(小松氏)。
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