プルーフポイントがSaaS「Proofpoint ENTERPRISE」開始へ
クラウドとオンプレミスのハイブリッドでメールセキュリティ
2010/03/23
日本プルーフポイントは3月2日に、企業向けの電子メールセキュリティサービス「Proofpoint ENTERPRISE」を国内でも提供することを発表した。外部からのウイルスやスパムの侵入をブロックするとともに、メールの暗号化やログ解析といった処理を、プルーフポイントのデータセンターと自社メールサーバの連携によってサービスとして提供する。
同社はオンプレミスで動作するメールセキュリティ製品「Proofpoint 6」を提供しているが、Proofpoint ENTERPRISEはSaaS型。スパム対策/ウイルス対策など外部の脅威からメールインフラを保護する「Protection Suite」と、コンプライアンス対策や暗号化、誤送信対策などを通じてアウトバンドの対策を行う「Privacy Suite」という2つのサービスがある。
米プルーフポイントのワールドワイド・セールス&サービス担当シニアバイスプレジデント、ディーン・ヒックマン・スミス氏によると、企業の電子メール運用には、伝統的なセキュリティ以外の要素が求められるようになっている。1つめは、情報漏えい対策をはじめとするコンプライアンス対応。もう1つは、訴訟などの事態に備えてメールを保存しておき、必要に応じて提出できる状態にしておくe-Discovery対応だ。
Proofpoint ENTERPRISEは2種類のサービスにより、新たなニーズに対応する。「安全で、各種法規制に対応した電子メール、メッセージングクラウドを提供する」(スミス氏)という。Privacy Suiteでは、電子メールの誤送信防止や暗号化に加え、e-Discoveryに備えるアーカイブも提供し、GUIを通じて、必要なメールを迅速に検索できるようにした。
料金は、2000〜5000ユーザーの場合、Protection Suiteは1ユーザー当たり年額2670円、Privacy Suiteは3990円。4月から提供を開始する。
クラウドとオンプレミスのハイブリッドで段階的な導入
プルーフポイントでは、同社データセンター内にVMware ESX ServerでProofpoint ENTERPRISEのサービス基盤を構築し、顧客ごとに仮想インスタンスを割り当てる形でサービスを提供する。管理やモニター、レポーティングといった機能も、仮想インフラ上に独自に追加したという。
サービスの特徴は、SaaSとオンプレミス、両方を組み合わせて導入できる「ハイブリッド型」であること。例えばメールのアーカイブならば、ローカルサイトにオンプレミスに保管することもできるし、クラウド上に暗号化して保存することもできる。
「ある大手顧客では、本社には検疫や情報漏えい防止のためのアプライアンスを導入し、地方拠点ではクラウドを導入して導入・運用コストの削減を図っている。どちらに対しても一元的な管理が可能だ」(スミス氏)。
クラウド活用によるTCO削減効果は大きいが、実際のところ、メールというクリティカルなインフラを第三者に委ねることに慎重な企業も多いという。「全部をいきなりクラウドに持っていくよりも、ハイブリッドで導入し、徐々に移行していく企業が多い」(同氏)。同社顧客の42%がピュアなSaaS型を採用し、残りは何らかの形でハイブリッド型で導入しているという。
「マイクロソフトは大規模企業向けにすばらしい製品を出しているし、一方グーグルはコンシューマーや小規模の企業向けにサービスを提供している。しかしその間の、中規模企業向けのサービスが欠けている。われわれは、安全で法規制に準拠したメッセージングクラウドを通じて、電子メールのインフラ全体を提供していきたい」とスミス氏は述べ、特に、各種法規制や業界標準への対応が求められる金融や保険、ヘルスケアといった業界向けにサービスを提供していきたいとした。
また、現在は、POPやSMTPといった従来型のメールのみが対象だが、2010年7月ごろをめどに、Webメールのフィルタリングに対応したProofpointの新バージョンを提供する計画だ。また、モバイルやソーシャルネットワーキングサービスへの対応も進めている最中という。
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