クラウド利用時の認証からデータの暗号化まで
日本セーフネット、クラウド向けにセキュリティ製品を強化
2010/08/26
日本セーフネットは8月25日、クラウドコンピューティング環境向けの戦略説明会を開催した。
同社はセキュリティに特化した製品を提供している。といっても、フォーカスしているのはウイルス対策ソフトやファイアウォールではない。USBトークンやICカードを用いた認証/アクセス管理システムのほか、やデータベースを暗号化する「DataSecure」、暗号/復号に用いられる鍵を管理する「ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)」などが主な製品だ。
日本セーフネットは従来オンプレミス向けに提供してきたこれらの製品を、クラウド向けにも展開していくという。クラウドにアクセスするときの認証やクラウドに預けるデータの暗号化/保護、その際に必要な鍵管理といった部分を強化し、安心してクラウドを利用できる環境を整えるという。
例えば、クラウド上のリソースにアクセスする際には、IDとパスワードによる認証に代えて、トークン製品の「eToken PRO Anywhere」を利用することで、認証を強化できるという。eToken PRO Anywhereはクライアント側にドライバをインストールすることなく利用できるため、運用管理の手間を増やすことなく、セキュリティを強化できることがメリットという。また、自社とクラウドを結ぶWAN回線に、レイヤ2で暗号化を行う「High Speed Encyptor」を導入することで、パフォーマンスを落とさずにデータを暗号化し、情報漏えいに備えることができるとした。
さらに、「クラウドでは、内部で本当にSLAに沿った運用がなされているか、データがきちんと保護されているかどうかが見えないことが課題。どれだけセキュリティを可視化できるかがポイントになる」(日本セーフネット エンタープライズセキュリティ事業部 シニアセキュリティエンジニア 高橋隆佳氏)。そこで、ユーザーが自社のリソースのみを管理できる新製品を投入する予定だ。
この新製品は、ハードウェアアプライアンスとして提供されている「DataSecure」を、ハイパーバイザ上で動作する仮想アプライアンス化するもの。対応するハイパーバイザなどはまだ明らかにしていないが、「企業の管理者が、いわば仮想管理者として、自社のリソースに関するセキュリティ設定や鍵の生成、データ保存状況の確認などを行うことができる。クラウド側の管理者はハードウェアのメンテナンスのみに専念し、生データに触れることはできない。これによりデータが安全であることを保証できる」(高橋氏)という。価格や動作環境などは未定で、2010年末にリリースされる予定だ。
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