外部クラウドサービスとの連携も
ベリサイン、企業リモートアクセスのOTP認証をSaaS的に提供
2010/09/08
日本ベリサインは9月7日、企業ネットワークへのリモートアクセス時の認証を強化する「ベリサイン アイデンティティ プロテクション(VIP)エンタープライズ ゲートウェイ」を発表した。ベリサイン側のデータセンターで認証サーバを動かすため、少ない運用負荷とコストで利用できることがメリットになる。
VIP エンタープライズ ゲートウェイは、IDとパスワードだけでなく、ワンタイムパスワードを組み合わせた二要素認証を実現するサービスだ。VPNを介したリモートアクセス時のなりすましを防ぎ、セキュリティを高める。日本ベリサインはこれまでも、Webサービス向けに「VIP オーセンティケーションサービス」というワンタイムパスワードサービスを提供してきたが、新サービスは、この範囲を企業リモートアクセスにも広げるものだ。
一般にワンタイムパスワードを導入する際には、ユーザー企業内に認証サーバなどの追加導入が必要だが、新たに発表したVIP エンタープライズ ゲートウェイでは、ベリサイン側のインフラ上でそれらを運用するため、短期間で導入できる。自社でメンテナンスを行う必要がないため、運用コストも削減できることが特徴だ。ユーザー設定などの作業は、専用のWebインターフェイスを介して行う。ただ、VIPネットワークとの通信には、VPNの認証に広く用いられているRADIUSではなく、SOAPを用いるため、その変換を行うモジュールを企業内に設置する必要がある。
ワンタイムパスワードの生成には、これまで提供してきた認証サービスと同様に、専用ハードウェアトークンやICカード、iPhone向けソフトウェアなどが利用可能だ。日本ベリサインは同時に、Internet Explorer向けのツールバー型ワンタイムパスワード生成ツール「VIP Access Toolbar」の日本語版をリリースしており、これを利用することもできる。
また、企業のリモートアクセス/VPNだけでなく、サードパーティが提供するSaaS/クラウドサービスに対しても、同一のトークンを用いて認証を行うことができる。「サービスごとに個別にトークンを用意する必要がなく、1つのトークンですべてのサービスを利用できる」(同社IAS製品本部 IASプロダクトマーケティング部 マネージャー 岩尾健一氏)。対応するSaaS/クラウドサービスについては近日中に明らかにする予定という。なお、現時点ではサービス間の認証連携にはOpenIDなどを用いるわけではなく、ベリサイン側のサーバ内でマッチングを行う仕組みという。
VIP エンタープライズ ゲートウェイの料金は、100ユーザーで年額25万円から。11月から提供を開始する。
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