アプリケーションのカオス状態をコントロール
低遅延でアプリケーションの識別、制御を実現、ソニックウォール
2010/10/18
ソニックウォールは10月15日、アプリケーション単位で細かくネットワークトラフィックを制御する新機能「SonicWALL Application Intelligence and Control」に関する説明会を開催した。
ソニックウォールは、ファイアウォールのほか、VPN、アンチウイルス、IPS、コンテンツフィルタリングなど複数のセキュリティ機能を1つのきょう体で提供するUTM製品「SonicWALL Network Security Appliance(NSA)シリーズ」や「同E-Class」といったセキュリティ製品を販売している。
新機能は、ポート80を介して動作するさまざまなアプリケーションの識別と分類、コントロールを行うものだ。専用OS「SonicOS」の新バージョンで実装される予定だ。
米ソニックウォールの社長兼CEO、マット・マディロス氏は「現在われわれは、アプリケーションカオスに直面している。FacebookやTwitter、YouTubeといったアプリケーションは、企業のプロモーションなどに活用することもできるが、マルウェアのキャリア(感染路)にもなっている」と述べ、それらを制御し、可視化し、マルウェアをブロックすることの重要性を訴えた。
Application Intelligence and Controlは、ポートやプロトコル単位ではなく、アプリケーション別にトラフィックを分類し、マルウェアを遮断する。そして、ポリシーに基づいて帯域幅の優先順位の設定や遮断などを行う。同社の説明によると、約3000種類のアプリケーションの識別が可能と言うことだ。
特徴は、同社独自の「再構築不要なディープパケットインスペクション技術」で処理を行うため、パケットを詳細に検査するにもかかわらず遅延が少ないこと。マディロス氏は「全パケットに対してフルディープパケットインスペクションを行い、マルウェアを排除する。ここまでのレベルで制御を行えるものはほかにない」と述べた。また、複数のシグネチャを適用すれば、「Gmailの受信は可能でも、添付ファイル付きの送信は不可」といった具合に、きめ細かく操作をコントロールできる。
なおソニックウォールはほかに、高い処理能力を実現する新ハードウェアプラットフォーム「SonicWALL SuperMassive」の提供準備も進めている。このきょう体はプロセッサを96個搭載することで、マルチギガビットクラスのパフォーマンスを実現する。ステートフルインスペクションでは40Gbps超、IPSで30Gbps、ディープパケットインスペクション/アプリケーションコントロールでも10Gbps超のスループットを実現するという。
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