端末の保護とコントロールで「公私を分離」
ジュニパー、モバイル機器向け統合セキュリティソフトを発表
2010/10/27
ジュニパーネットワークスは10月26日、モバイル端末の保護に特化したセキュリティソフトウェア「Junos Pulse モバイル・セキュリティ・スイート」を発表した。アンチウイルスやアンチスパムといった機能に加え、管理者によるコントロールや紛失時に備えた位置把握、リモートワイプなどのセキュリティ対策を実現する。グローバルでは提供を開始したが、国内での提供時期、形態などは未定だ。
ジュニパーではこれまで、「Junos Pulse」のブランド名で、SSL VPNやWAN高速化などのゲートウェイ製品を提供してきた。新製品はスマートフォンやタブレットといったモバイル端末を対象にしており、同社によるSaaSとして提供される。
Junos Pulse モバイル・セキュリティ・スイートは、ジュニパーが独自に開発したアンチウイルスやパーソナルファイアウォール、アンチスパムといったエンドポイントセキュリティ機能を提供。さらに、インストールすべき/禁止すべきアプリケーションの制御などを管理者がリモートから行えるようにする。端末の紛失、盗難に備え、現在位置を特定したり、強制的に電源を終了させ、情報漏えいを防ぐ機能も提供する。
管理者は、ジュニパーが提供する管理インターフェイスを通じて端末の情報を一元把握できる。コマンドの送信やログの収集、端末に保存されているコンタクトリストや写真データ、位置情報などの把握も可能だ。
「そろそろスマートフォンについても、プライベートとエンタープライズの切り分けをすべき時期に来ている。Junos Pulse モバイル・セキュリティ・スイートはそれを支援するソフトで、エンタープライズでスマートフォンを活用できるようにする」(同社 サービスプロバイダ マーケティング マネージャ 佐宗大介氏)。
特徴の1つは、対応するプラットフォームの幅広さ。Android、BlackBerry、SymbianOS、Windows Mobileなどに対応しており、iPhoneなどが搭載するiOSには来年以降対応する予定だ。ただ、OSごとに仕様が異なるため、提供する機能には若干違いが生じるという。
なおジュニパーでは同製品の提供に合わせ、モバイル機器を狙う脅威に特化した研究センター「Juniper Global Threat Center」を開設したことも発表した。Junos Pulse モバイル・セキュリティ・スイートに含まれるアンチウイルス機能のシグネチャやショートメッセージ向けのスパムをブロックするブラックリストなども、同センターでの分析を元に作成するという。
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