エンタープライズから中堅/中小企業へ
メッセージラボ、「あらゆるポートフォリオをサービスリストに」
2010/11/01
シマンテックのホステットサービス部門であるメッセージラボは11月1日、戦略説明会を開催した。イギリスやオーストラリアなどと比べると、日本におけるSaaS型セキュリティの導入率は10%未満といまだ低いが、「成長率は高い。これからも成長の可能性がある」(シマンテックホステッドサービス シニアバイスプレジデント ローワン・トロロープ氏)とし、パートナーおよび顧客の拡大に取り組むという。
メッセージラボは、2008年にシマンテックに買収されたSaaS専業のセキュリティベンダだ。現在はシマンテックの一部門として、電子メールおよびWebセキュリティ機能をインターネットを介してサービスとして提供している。
セキュリティ機能をサービスとして提供すれば、「導入が容易で、ハードウェアやソフトウェアが不要なうえに、アップデートが自動化できてスケールアップ/ダウンが容易など、顧客にとってさまざまなメリットがある」(トロロープ氏)。
しかも、「競合に比べ、高い水準のSLAを実現していることが特徴」(同氏)という。「Brightmail」や「Symantec AntiVirus」といったシマンテックのエンジンによるウイルス/スパム検出と、ヒューリスティック解析や商用ブロックリストによる絞り込みに加え、同社独自の人工知能技術「Skeptic」を組み合わせることで、高いスパム/ウイルス検出率を実現していると同氏は説明した。
日本では、メールおよびWebセキュリティの分野を中心に、9種類のサービスを提供しているが、今後、グローバルではすでに展開済みの「ホステッドエンドポイントプロテクション」や「IMセキュリティ」といったメニューを追加していく予定だ。また、シマンテックのバックアップ製品「BackupExec」やアーカイブ製品「Enterprise Vault」をサービスメニューに加えることも予定しており、「今後、シマンテックのポートフォリオすべてが、(メッセージラボのサービスの)リストに加わるというロードマップを描いている」(トロロープ氏)。さらに、一連の製品の管理機能をクラウド上に移していくことも検討中という。
トロロープ氏によると、「これまで、SaaS型セキュリティサービスは中堅、中小企業に適しているという神話があったが、実際にはエンタープライズでの導入が先に進んでいる」。メッセージラボジャパン カントリーマネージャの山本誠治氏も、「ホステット型メールセキュリティを採用している企業の共通点は、グローバルにビジネスを展開していること」と述べる。同社では、新たにネットワールドや大塚商会などと販売パートナー契約を結んで、中堅企業やSMBにも積極的にアプローチしていきたいと述べた。
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