DKIMの普及促進団体設立、ヤフーや楽天ら24社が参加
「DKIM、普及しないから使わない」の悪循環から脱却目指す
2010/11/16
インフォマニア、センドメール、ニフティ、パイプドビッツ、ヤフー、楽天の6社は11月15日、迷惑メール対策のためのドメイン認証技術「DKIM(DomainKeys Identified Mail)」の普及促進を目的とした団体「Japan DKIM Working Group」(dkim.jp)を設立した。発起人6社も含め、メール送信事業者やISP、メール関連のベンダなど、国内企業24社が参加するほか、JPCERT/CCや日本データ通信協会などが協力団体・オブザーバーとなっている。
総務省の調査によると、現在、電子メールの約70%が迷惑メールで占められている。そしてその多くが、送信元や差出人を詐称した「なりすまし」メールだ。
DKIMは、電子署名を用いて送信元のドメイン情報を検証することで、なりすましメールかどうかを見分けるための技術。いわば「メールにパスポートを付けるようなもの」(パイプドビッツ スパイラル事業部 プロダクト管理部 マネージャ 遠藤慈明氏)で、その有無に応じてフィルタリングをかけることで、スパムのブロックを効率的に行えると期待されている。「DKIMが普及していけば、悪質ななりすましメールを排除していくことができる」(遠藤氏)。
ただ、いかんせん国内におけるDKIMの導入率は、WIDEプロジェクトの調査によると2010年8月時点で0.45%と、非常に低い。DKIMに対応したメールが少なければ、受信側もわざわざ対応するモチベーションが沸かない……という悪循環に陥っている。
dkim.jpはこの状況を解消することを目的に発足した。2011年1月を目標に、標準的なDKIM導入形態を示す「DKIM Recommendation」を作成して公表し、導入を後押しする計画だ。またdkim.jpに参加するメール送信事業者に対しては、半年後までにDKIM対応を求めていく。
同じく送信者の身元を、IPアドレスの認証によって保証するSPF/Sender IDの普及率は39.59%まできている。dkim.jpでは、DKIMの普及率もこの水準まで引き上げたいとしている。その水準に至れば、メーラーやWebメールなどの受信側に、DKIMの検証とそれに基づくフィルタリング機能の実装を求めたり、ISPがユーザーに対し、DKIMに基づくフィルタリングサービスを提供したりといった、より実効的な対策につながる可能性が広がるという。
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