認証データベースとしてHBaseもサポート
HPがSSO製品を強化、クラウドとの認証連携を実現
2010/11/25
日本ヒューレット・パッカード(HP)は11月25日、シングルサインオン製品「HP IceWall SSO」に、クラウドとの連携をサポートするモジュールを追加した。SAMLやOpenIDに基づいて、自社内とクラウドサービス間で認証連携(Federation)を行えるようにする。
HP IceWall SSOは、複数のWebアプリケーションに対するシングルサインオンを実現するミドルウェア製品だ。一度認証を行うだけで複数のアプリケーションにシームレスにアクセスできるため、ユーザーの利便性が向上するほか、システム部門でもパスワードに関する問い合わせの負担が減り、証跡ログを一元的に残せるなどのメリットがある。
今回追加するモジュールは、シングルサインオンの範囲を、企業内アプリケーションにとどまらずパブリック/プライベートクラウドにまで広げるもの。Federationによってサイト間でシングルサインオンを実現する。
Federationの仕組みでは、認証機能を提供するサイトを「Identity Provider」(IDP)、その認証情報に基づいてサービスを提供するサイトを「Service Provider」(SP)と呼ぶ。
新モジュールの「HP IceWall Federation Version 3.0」は、HP IceWallにIDPの機能を加え、いったん社内で認証を済ませれば、そのまま外部のパブリッククラウドサービスに接続できるようにする。自力でSAMLの各種パラメータを調整したり、検証を行う必要がなく、モジュールを介して簡単に接続できることがメリットだ。すでにGoogle AppsやSalesforce.comとの動作が検証済みで、今後Windows AzureやLotus Liveなどにも対応する計画だ。
また、「HP IceWall Federation Agent 3.0」は、クラウド上で動作させているアプリケーションにSPとしての機能を追加するモジュールだ。個別に認証機能を実装することなく、HP IceWall FederationなどのIDPの認証情報に基づいてアクセス制御を行えるようにする。
価格は、HP IceWall Federationの1接続ライセンスが本番系で252万円、開発系で63万円。接続数無制限ライセンスはそれぞれ1260万円、315万円。HP IceWall Federation Agentは1サーバライセンスが136万5000円となっている。
日本HPは同時に、HP IceWall SSOの認証データベースとして、オープンソースの分散処理プラットフォーム「Hadoop」を利用したデータベース「HBase」を利用できるようにする「HP IceWall SSO 10.0 Hadoop 接続ライブラリ」もリリースした。NoSQLデータベースのHBaseを利用することで、従来からサポートしてきたLDAPやRDBでは実現が難しかったスケールアウトや耐障害性の向上といったメリットが見込め、特に大規模な環境における認証システムに適しているという。Hadoop 接続ライブラリはHP IceWall SSOの標準機能として提供される。
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