ハニーポットで中国国内のセキュリティ情報を収集、反映
中国のセキュリティベンダ、NSFOCUSが日本に本格上陸
2011/01/20
中国のセキュリティベンダ、NSFOCUS Information Technology(緑盟信息技術有限公司)は1月20日、日本法人の設立を発表した。1月15日付でエヌエスフォーカスジャパンを設立し、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)アプライアンスをはじめとする企業/ISP向けセキュリティ製品の販売を本格化する。
NSFOCUSは中国・北京に本拠を置くセキュリティベンダだ。WAFアプライアンス「NSFOCUS WAF Pシリーズ」のほか、シグネチャや振る舞い検知など複数の方式で不正アクセスを検出、ブロックするIPS「NFSOCUS Network Intrusion Prevention System(NIPS)」、DDoS対策製品の「NSFOCUS Anti-DDoS System(ADS)」といった自社開発のセキュリティ製品を販売してきた。また、NIPSを用いた監視サービスや脆弱性検査スキャナ「RSAS」を用いた検査サービスも展開している。
脆弱性診断サービスを展開し、しかも自社で製品を開発しているため、「新たに発見した脆弱性をWAFに反映したり、DoS対策機能をWAFに組み込んだりといった形で、製品が相互に補完し合うことが特徴」(エヌエスフォーカスジャパン 事業統括の椋野慎一氏)という。
また、インターネット上の攻撃の少なからぬ割合が、中国を発信源(中継点)としている。中国国内に置いたハニーポットを通じて攻撃手法や脆弱性、マルウェアの検体といった情報を収集し、製品に反映できることも同社製品の強みだとした。「セキュリティの問題に国境はない」(中国NSFOCUS Information Technologyの副社長、呉云坤氏)。
2011年中には、仮想環境に対応したソフトウェア版WAFの提供や、DNSキャッシュポイズニングなどの攻撃を検出し、アラートを発する「DNSモニタリングサービス」の提供を計画している。ただし、ファイアウォールやエンドポイント向けのウイルス対策ソフトなどには手を広げない方針だ。
国内ではインフィニテック、京セラコミュニケーションシステム、ソフィア総合研究所、日本ユニシス、ネットワールドの5社が販売パートナーとなり、WAF製品などの販売を行うほか、IPS製品を用いた監視サービスなどを提供していく。日本法人の代表取締役社長に就任した栗原章通氏は、「中国のスピード感やダイナミズムと日本ならではのきめ細かさやこだわりを融合させたビジネスモデルを作り出していきたい」と述べた。呉氏も「製品に対する品質要求が非常に高い日本市場で製品を鍛え、改善することに期待している」という。
製品価格は、WAFアプライアンスはエントリモデルの「P300」が250万円から、NIPSは同じくエントリモデルの「200P」が130万円からなど。初年度1億円の売り上げを目指す。
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