怪しいJavaScriptの検出ツールもオープンソースで公開
DDoSがサーバに届く前にクラウド側で防御、アカマイ
2011/02/18
米アカマイ・テクノロジーズは2月15日、顧客に代わって同社のインフラ上でDDoS攻撃を防止する「Akamaiクラウド・ディフェンス・ソリューション」を発表し、RSA Conference 2011の会場で新サービスを紹介した。攻撃トラフィックが顧客のサイトに届く前に、アカマイ側で緩和できることがメリットだ。
2009年7月に発生した韓国から米国政府機関へのDDoS攻撃では、ピーク時のトラフィックは通常時の約600倍に当たる124Gbpsに達したという。攻撃元のIPアドレスは大きく3つの「チーム」に分かれており、ターゲットも時間の推移とともに変化していた。DDoS攻撃のこのような性質を考えると、単純にIPアドレスに基づいてブロックすると悪影響が大きすぎると同社は説明する。
新しいDDoS対策ソリューションは、複数の手段を組み合わせ、正当なユーザーへのアクセスは確保しながら攻撃トラフィックを排除するという。
1つめの手段はキャッシュだ。アカマイでは世界中に8万台以上のサーバを配置し、分散ネットワークを構築している。ここにスタティックなコンテンツをキャッシュすることで、自社Webサーバへの負荷集中を避けることができる。
ただし、動的に生成されるコンテンツにはこの手は適用しにくい。そこで、IPアドレス単位、あるいは地理的情報に基づいて、アクセスのブロックや帯域制御といった手段を組み合わせてサーバを保護する。IPレイヤでのフィルタリングだけでなく、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)やDNSサーバの防御といったメニューも用意する。今回の発表には、DDoS攻撃に備えたコンサルティングサービスなども含まれている。
さらに、ボットなどによる攻撃と正当なユーザーによるアクセスを区別するため、ユーザーのプロファイリングを行う。グレーゾーンのアクセスはいったん「待合室」ページにリダイレクトし、CAPTCHA認証を実施することで、本来のユーザーのみをWebサイトにアクセスさせることも可能という。
HTMLコンテンツのスキャンツールをオープンソースで公開
一方、アカマイのプリンシパルセキュリティアーキテクト、ブライアン・スニフェン氏は「Scanning the Ten Petabyte Cloud」と題した講演の中で、HTMLコンテンツのスキャニングツール「vscan」を開発し、BSDライセンスで公開したことを明らかにした。
vscanは、クラウドストレージに蓄積されたHTMLファイルをスキャンし、iframeタグやJavaScriptを使ってマルウェアを配布するサイトへ誘導しようとするコンテンツを見つけ出すツールだ。シグネチャを使ってファイルを検査するウイルス対策ソフトウェアとは異なり、ファイルの「中身」を検査するツールであり、GumblarなどWebを媒介として広がるマルウェアの検出に有効だという。
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