日本法人設立で日本市場の開拓に本腰
米RightScaleが日本に本格進出、クラウド利用の高度化推進
2011/03/09
米Amazon Web Services(AWS)の日本データセンター運用開始に続き、米RightScaleが3月7日(米国時間)、日本法人の設立を発表した(登記は3月1日)。「日本はアジアに対する北の玄関だと考えている」と、米RightScale 事業開発担当バイスプレジデントであるジョシュ・フレイザー(Josh Fraser)氏は話す。
「日本では2年以上前から活動しているし、住友系のファンドであるPresidio Venturesの出資も受けている。世界最初のユーザー会も日本で開催した。日本はクラウドの採用、およびRightScaleのさまざまな活動の先駆けともなっている。RightScaleにとって非常に重要な市場だ」。NTTドコモも、RightScaleの大口顧客の1社だ。
RightScaleはクラウド運用管理サービスを提供する企業。AWSの利用を容易化するとともに、その運用管理を自動化・高度化できることで人気が高まっている。AWSの東京リージョンを利用開始したZynga もRightScaleを通じてAWSを利用する大口顧客であり、Zyngaに対するサポートも日本法人の業務の一部となる。
「AWSが先週東京リージョンを開始したように、新たなクラウドが利用できるようになったら、RighScaleでは文字どおり数分で、これを使い始めることができる。顧客はすでに構築した構成をやり直す必要はない。クラウドの選択肢として新たに表示されるものを選んで適用すればいいだけだ」
しかし、RightScaleの一番の強みは、AWSだけでなく、APIを提供するその他のIaaSや企業の社内クラウドにまたがる一貫した運用環境を実現することだ。例えば同社はすでに、米Rackspaceのサービスも対象としているし、Windows AzureやIBM Cloud、vCloudへの対応を進めている。「(現在のところ、RightScaleは多くの場合AWSの利用における運用管理で使われているが、)2011年はまさにそのほかのクラウド事業者が成長する年だ。Cloud.comのプラットフォームを使って3月7日に提供開始された、TATA Communicationsのシンガポールにおけるクラウドサービスなどへの対応も強化していく」
RightScaleの日本法人が仕掛ける面白い動きの1つは、Cloud.comなどとの協業による“RightScale互換”クラウドサービス事業者(やユーザー)の支援だ。Cloud.comは、クラウド構築ソフトウェア「CloudStack」を提供している。これを使ってIaaSサービスを立ち上げることができるし、一般企業が社内ITのクラウド化に使うこともできる。APIを公開し、RightScaleとの連携も強化している。CloudStackのようなソフトウェアを使ったIaaS事業者が日本国内に増えてくれば、RightScaleのメリットがさらに生かせるし、同社のビジネスも広がることになる。RightScale、Cloud.comの両社を国内で支援してきたクラウド・コンサルティング企業の雲屋 代表取締役を務める新藤洋介氏が、日本法人の従業員第1号として営業・事業開発担当ディレクターに就任した。
RightScaleは同社のサービスやドキュメントを日本語化する一方、技術サポートやエバンジェリスト、営業など人員の拡充を進める。クラウドおよびRightScaleについての啓蒙を続けるほか、パートナーに対する支援を強化する。現在、日立ソリューションズ、住商情報システムがRightScaleに関するサポートやシステム・インテグレーションを提供している。雲屋は認定ディストリビュータとして、コンサルティングや啓蒙活動支援を行っている。
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