自律運用による親しみやすさを武器に

取説不要のストレージ「Drobo」、中堅・中小IT市場へ

2011/03/29

 以前、「アップルっぽい(?)ストレージが日本に本格上陸」という記事で、日本市場における本格展開を紹介した小型ストレージ装置の「Drobo(ディーロボ)」が、最上位製品の投入で中堅・中小企業IT市場に本格的に進出する。Droboの提供元であるデータロボティクスは3月30日、新製品「Drobo B1200i」を6月に国内出荷開始すると発表。これを既存の上位機種とあわせ、「Drobo Bシリーズ」として展開していくという。

 Droboシリーズ全体を貫くコンセプトは「マニュアルを読まずに使える」ということ。ストレージなどという言葉を知りたくもない人に、安全なデータ保存のための「道具」として使ってもらうことが、最大の目的だ。ハードディスクドライブ(HDD)は付属せず、ユーザーが任意のHDDを別途購入し、組み合わせればいい。RAID 1/5/6に相当するデータ保護機能を備えるが、容量の違うHDDを組み合わせてRAIDアレイを構成しても、各HDDの容量を無駄なく生かせるようになっている。これらの機能については、以前の記事に詳しく説明した。

 Droboに新たに加わるB1200iは、HDDを12基搭載可能なiSCSIストレージ装置。コンポーネントを冗長化し、SATAドライブに加えてSAS、SSDに対応したことが大きな特徴だ。標準で電源ユニットは2基、冷却ファンは8基備わっており、ホットスワップが可能。オプションでコントローラを二重化することもできる。ギガビットイーサネット・ポートはデータアクセス用に3ポート、管理用に1ポート備えている。SATA、SAS、SSDの混在環境では、データの自動階層管理に似た機能が搭載される可能性がある。既存の上位機種はデスクトップ/ラックマウント両用だったが、B1200iはラックマウント専用になった。

drobo01.jpg B1200iの前面。インジケータで動作状況を分かりやすく表示。インジケータはドライブの正常/異常、保存データ量(合計ディスク容量利用率)を示す
drobo02.jpg B1200iの背面。左下は二重化された電源コンポーネント。中央上には冷却ファンが並んでいる

 B1200iは、既存のDroboシリーズに見られる機能を引き継いでいる。ストレージの利用を止めずに容量を拡張できるし、シン・プロビジョニング機能も搭載している。容量3TBのドライブにも対応する。「取説不要」を実現するための重要な要素となっているインジケータランプも搭載。各ドライブやコントローラカードの正常/異常、HDD容量の利用率などが前面パネルから確認できる。また、複数台のDroboを分かりやすいインターフェイスで管理できる管理ツールが用意されている。

 B1200iは既存販売チャンネルに加え、新規開拓するSI業者のパートナーを通じて提供される予定。最も注目される価格は、現在のところ未定という。100万円を切ることができれば、VMware vSphere Essentialsのような中小企業向けサーバ仮想化ソフトウェア・パッケージと組み合わせた、安価なオールインワン仮想化環境パッケージを組みやすくなるはずだ。

 Drobo BシリーズにはB1200iのほか、8ドライブが搭載可能なiSCSIストレージの「Drobo B800i」、そして同じく8ドライブが搭載できるNASの「Drobo B800fs」がある。これら2製品は3月30日に提供開始、参考市場価格はそれぞれ39万8000円、24万8000円だ。Drobo B800fsには、非同期レプリケーションのためのソフトウェアツールが標準で付属している。

(@IT 三木泉)

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