新年度の事業戦略を説明
国内売り上げ26%増のネットアップ、シェア3位へダッシュ
2011/06/03
ネットアップは2011年会計年度(4月29日まで)に、グローバルの売り上げを前年比約30%伸ばし、日本における売り上げも26%増加したという。この結果を受け、同社は6月3日、新年度の国内事業戦略を発表した。
ネットアップ日本法人 代表取締役社長のタイ・マッコーニー(Ty McConney)氏は、世界的なネットワーク・ストレージ市場のここ数年のトレンドとして、HPやIBMなどのサーバ/システムベンダがシェアを落とし、逆にネットアップとEMCの2大ストレージ専業ベンダがシェアを伸ばしていることを、同社が好調な要因の一つとして指摘した。同氏は@ITに対し、「サーバベンダはストレージに十分な技術投資をすることが難しい。(だからこそ)買収をするが、買ったものに投資していくことも難しい」と話している。
特にネットアップは、米CIO Insight誌でITベンダ価値2位を獲得するなど、顧客の信頼を獲得しているとマッコーニー氏は訴える。また、ストレージはアプリケーションごとにサーバとともに納入されるのでなく、仮想化された統合ITインフラの基盤として導入されるようになってきている。ネットアップとしてもファイバチャネルやiSCSIに対応して数年が経つが、サーバ仮想化の進展により、ネットアップがNASとしても食い込める市場は大きく広がっているという。
マッコーニー氏はEMCとの違いについて、@ITに対し「ネットアップはスイスのようなもの」とも語った。まったく等距離な立場で、仮想化についてはヴイエムウェアだけでなくマイクロソフトやシトリックスとも協業できるし、サーバベンダについても同様という。サーバベンダは、自社でブロックストレージ(SANストレージ)を開発・販売しながらも、NASについてはネットアップ製品をOEMあるいは再販してきた企業が多いため、これら企業との取引を増やすにもEMCより有利だという。
中・長期的には、ネットアップも「ビッグデータ」市場に注目しており、Engenio、Bycastといった企業の買収は、この市場に向けた戦略的な取り組みだという。なお、同社はビッグデータという言葉の同社による定義を「Analytics」「Bandwidth」「Content」の3つのキーワードで説明した。AnalyticsはBIなどの解析用データ、Bandwidthは高精細画像、動画などの帯域幅を要求するデータ、Contentはその他大容量の非構造化データで、オブジェクトストレージに保存することが適切なものだ。ネットアップでは、2010年から2016年までのビッグデータ市場の年平均成長率を、35%と予測している。
ネットアップの現在の目標の1つは、国内外付けストレージ市場で3位以内に入ること。そのための販売における取り組みは、マッコーニー氏の説明によると次のとおりだ。
サーバベンダによるOEMや再販は、今後もネットアップにとって重要な販路となる。NECも最近、ネットアップ製品の再販契約を結んだ。ハイタッチセールスによる顧客への直接的な働きかけもますます重要で、過去2年ほどにわたりネットアップの成長を支えてきた。サービス事業者への販売/パートナーシップも、(企業)顧客に対し、自社で構築するか、サービスとして使うのかの選択肢を提供することができる。これらの、すでに確立した3つの販路に加えて、今後勢いを増すのがSI経由の販路だ。既存のサーバベンダもそうだが、独立系SI業者も、これから重要性を増してくる。
営業統括本部長の岩上純一氏によると、ネットアップは今期中にリストプライスを25%下げるという。ただし、焦点は製品価格から運用コストに移っていくため、サーバ仮想化への親和性や、データ量を抑える技術などの優位性を訴えていきたいという。また、OracleやSAPといったアプリケーションとの組み合わせの検証に関する情報を、ネットアップがリセラーに対して積極的に提供することで、リセラーの負担を軽くする活動を行っていく。一方、中堅・中小企業担当の営業セクションを最近新設。特定の業界や地域に強いリセラー/SI業者をディストリビュータ経由で開拓していくという。
製品については、昨年11月に大量の発表を行ったネットアップだが、まもなくローエンド製品も発表の見込みだとマッコーニー氏は語った。
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