パートナー追加で「シールインサーチ」対応環境も拡大
ベリサイン、マルウェアスキャン機能などを追加した「SSL+α」を提供
2011/08/09
日本ベリサインは8月9日、SSLサーバ証明書の機能拡張を発表した。従来、オプションとして提供してきた「VeriSign Trust Seal」を全ユーザーに無償で提供するほか、証明書の期間や更新期間のラインアップを拡充する。同時に、VeriSign Trust Sealの機能の1つである「シールインサーチ」に関して、NECビッグローブ、ソースネクスト、Lunascapeの3社がパートナーとなったことも発表した。
SSLサーバ証明書は、通信先となるサーバの身元を証明し、SSL暗号化通信を実現する。ベリサインはこのサーバ証明書の顧客すべてに対し、9月上旬から、VeriSign Trust Sealを無償で提供する。「いままでのSSLとは違う『SSL+α』を提供する」(日本ベリサイン SSL製品本部 本部長 平岩義正氏)。
VeriSign Trust Sealには主に2つの機能がある。1つは、ベリサイン側からWebサイトを定期的にスキャンし、アクセスしてきたユーザーを悪意あるサイトに誘導するようなマルウェアが埋め込まれていないかどうかをチェックする「マルウェアスキャン」だ。
もう1つは、サーチエンジンの検索結果にベリサインシールを表示する「シールインサーチ」で、SSLサーバ証明書を利用しているサイトを一目で判別できる。これにより、「セキュリティを『見える化』することができる」(平岩氏)。
ただし、シールインサーチを利用するためには、クライアントに「ノートン インターネット セキュリティ 2011」「ノートン360 バージョン5.0」もしくはAVGのウイルス対策ソフトウェアをインストールしておく必要があるほか、対象検索サイトはGoogle、Yahoo!、bingとなるなどいくつか条件があった。
日本ベリサインは今回の発表に合わせて、NECビッグローブ、ソースネクスト、Lunascapeと協業。シールインサーチが利用できる環境を拡大した。
具体的には、NECビッグローブの「BIGLOBEサーチ」で検索をした場合、あるいはWebブラウザの「Lunascape」や「iLunascape」上で検索を行った場合は、上記のセキュリティソフトを導入していなくても、SSLサーバ証明書導入済みのサイトにベリサインシールが表示される。また、ソースネクストの「ウイルスセキュリティ」をインストールしたPCでは、GoogleやYahoo!、Bingの検索結果にベリサインシールが表示されるようになる。なお、それ以外に、NTTコミュニケーションズの「OCNウェブ検索」やNTTレゾナントの「goo」もシールインサーチを採用している。
日本ベリサインはさらに、SSLサーバ証明書の有効期間も拡充した。キャンペーンサイトなどでの利用に向け、有効期間は90日/180日の「短期証明書」を提供するほか、SSLインストール負荷/コストを削減したいという企業向けに、有効期間が3年/4年/5年の「長期証明書」を用意する。ほかに、更新可能期間の拡大や他社からの乗り換えを支援する機能を実装し、より利用しやすい環境を提供するという。
なお、iLunascapeはiPhoneやiPadで動作するが、ベリサインの電子証明書自体は「これから出てくるAndroid端末も含め、スマートフォンにはすべて対応していく方針」(平岩氏)だ。並行して、スマートフォン向けに提供されるアプリケーションが信頼できるものかどうかを検査し、安全なものについてはそれがひと目で分かるよう表示するような仕組みも検討していきたいという。
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