「1つの契約」で一体的な利用が可能
ヴイエムウェア、SBテレコムなど世界各地のクラウド事業者を相互接続
2011/08/30
米ヴイエムウェアは8月29日、ラスベガスで開幕した年次イベント「VMworld 2011」で、企業ITのハイブリッドクラウド化を促進する4つの発表を行った。最も注目されるのは、ソフトバンクテレコムをはじめとする世界各地のクラウド事業者が相互に接続し、「1つのクラウド」として機能。これを企業のハイブリッドクラウドに組み込めるようになるという試みだ。
今年2月のニュースで既報のとおり、ソフトバンクテレコムは、「vCloud Datacenter Services」認定IaaSを発表、7月末に提供開始している。vCloud Datacenter Services認定を受けるには、マルチテナントクラウド管理ツール「VMware vCloud Director」を使うのに加え、ハイブリッド構築支援に適したさまざまな仕様に適合したサービスを提供する必要がある。ヴイエムウェアによると、今年末までに13カ国、25のデータセンターが同認定を受ける見込みという。
ヴイエムウェアが今回発表した「vCloud Datacenter Global Connect」は、vCloud Datacenter Services認定サービス提供者を相互連携したサービス。ユーザー企業は単一の契約で、世界中のvCloud Datacenter Servicesを臨機応変に使えるようになるという。「単一の契約で」というからには、サービス事業者の間で、サービスレベルの統一および相互の課金代行が行われる可能性が高い。ユーザー企業はGlobal Coonectの複数クラウド事業者に構築した自社の仮想データセンターを、社内のプライベートクラウドとともに、単一の画面で一括管理できるようになる。
vCloud Datacenter Services認定サービス提供者がすべてGlobal Connectに即座に参加するということではない。ヴイエムウェアでは、最初のプロバイダとして、ソフトバンクテレコムのほか、Bluelock、SingTelが参加を予定していると発表している。
パブリッククラウドを気軽に試せるポータル
ハイブリッドクラウド化推進のもう1つの取り組みは、vcloud.vmware.comの提供開始。このサイトでは、世界中のIaaSパートナーを紹介し、現在のところ限定的ながら、無償での試用が行えるようにしている。IaaSパートナーはヴイエムウェアが展開する3つのIaaSパートナープログラム「vCloud Datacenter Service」「vCloud Powered Service」「vCloud Express Service」に分類されている。日本のサービスとしては、ソフトバンクテレコムのほか、伊藤忠テクノソリューションズの「TechnoCUVIC」も掲載されている。このサイトでは、後述する「VMware vCloud Connector」の機能も使える。このため、社内の仮想マシンを試験的にIaaSサービスに複製して起動してみるといった使い方が可能。
そのvCloud Connectorは、ヴイエムウェアが無償で提供しているクラウド間の仮想マシン転送・管理ツールだが、今回新バージョンが発表された。新バージョンであるvCloud Connector 1.5は、転送パフォーマンスが改善したほか、転送中に接続が途切れた場合でも、再接続されれば転送を中断箇所から再開できるようになった。また、これまでvCenterのプラグインとしてのみ使えたが、今回からはWebブラウザから気軽に使えるようになった。
もう1つ、ヴイエムウェアはサービス事業者4社が「VMware Site Recovery Manager 5」(SRM 5)を使った災害復旧サービスを提供の予定と発表した。SRMでは、これまで本番拠点から待機拠点への仮想マシン複製作業を、ストレージ製品の遠隔複製機能に頼っていた。しかしSRM 5では、SRMのみで仮想マシン単位での遠隔複製が可能な「VMware vSphere Replication」という機能が追加された。これにより、災害復旧サービス事業者は、顧客側と同一のストレージ製品を使う必要がなくなり、より経済的なDRサービスが提供できるようになった。まず、FusionStorm、Hosting.com、iland、VeriStorがサービス提供を予定しているという。
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