EMCが月例報告
2011年7月のフィッシング数は過去最高の2万5191件
2011/08/31
EMCジャパンは8月29日、RSA Anti-Fraud Command Center(AFCC:24時間365日稼働のオンライン不正対策センター)が調査したオンライン犯罪の統計結果を基に、オンライン犯罪対策に関する月例の説明会を開催した。
AFCCの統計報告によると、2011年7月のフィッシング総攻撃回数は2万5191件で過去最高値を更新した。中でも、Webサイトのホスティングする攻撃が多く確認されたという。攻撃を受けた企業数は6月(349件)比で8%減の321件だが、2010年同月比で見ると48%の増加となった。
国別のフィッシング攻撃被害状況は、上位から順に米国(全体の48%)、英国(28%)、ブラジル(5%)で確認された。フィッシング攻撃をホストした国は、米国(53%)、カナダ(5%)、ドイツ(5%)の順に多かった。
説明会の中で同社RSA事業本部 シニアマーケティングプログラムマネージャーの水村明博氏は、7月のトピックとして、ここ数カ月で発生したAPT(Advanced Persistent Threat)攻撃を取り挙げた。
APT攻撃は、組織の重要情報やシステムを標的とした高度なサイバー攻撃のことを示す。標的を明確にしている点や、豊富な資金、徹底した情報収集、複数経路からの侵入などを特徴とし、2011年の代表例としては、7万件以上もの個人情報が流出したソニーの事件がそれに当たる。「攻撃者は、SNSなども利用して対象組織に関する情報を徹底的に集める。そして特定のエンドポイント(人も含む)を標的として組織ネットワーク内に侵入し、内部システムを侵害。知的財産を抽出したり、誤った情報を植え付けたりする」(水村氏)
APT攻撃に対抗する方法として水村氏は、SBIC(Security for Business Innovation Council:セキュリティ協議会)が発表したリポートから、以下7点を紹介した。
- 高レベルの情報収集と分析:実際にどのような攻撃が他組織で発生しているのか、特に同業界の情報を収集しておく。また、自社の重要資産へのアクセス権限は誰が持っているかなど、ログ管理も含め内部情報に気を使う
- 複数レイヤーでの監視:アプリケーション、ホスト、ネットワーク、データなど、複数のレイヤーで監視をする。ネットワークにおいては、特定の攻撃パターンや異常なトラフィックがないか、状況を可視化するなど
- 重要資産のアクセス制御:管理者のパスワード変更は対面に限定する。多要素認証システムの導入も有効となる
- 真剣に効果的なユーザー教育を行う:ユーザー自身がおのおのの責任を認識することが重要となる
- 経営幹部の期待を管理する:セキュリティの知識を持つ専門部署を設け、経営幹部の理解、関心、協力を得る
- ITの再設計:ネットワーク設計の再考や情報がダウンロードされないデスクトップ仮想化やシンクライアントの導入
- 情報交換に参加する:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)やJPCERTコーディネーションセンター、フィッシング対策協議会などのWebサイトでサイバー犯罪に関する情報を収集する
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