民間企業との連携で「出口」の充実を
セキュリティ人材をオールジャパンで育てる、キャンプ実施協議会設立
2012/02/22
情報処理推進機構(IPA)は2月22日、若年層のセキュリティ人材育成を目的とした「セキュリティ・キャンプ」の実施に向け、「セキュリティ・キャンプ実施協議会」を設立した。民間企業を巻き込むことで産業界との交流促進を図るほか、地方での講座実施も計画している。
セキュリティキャンプは、優れた人材の発掘と育成を目的に、2004年から実施されてきた(2008年からは「セキュリティ&プログラミングキャンプ」として実施)。22歳以下の学生を対象に、4泊5日の合宿形式で、座学に加えハンズオンでセキュリティやプログラミングの専門知識を学習しつつ交流を深めるもので、これまでに約360名が受講している。
セキュリティ・キャンプ実施協議会は、これまでの蓄積を踏まえ、さらにセキュリティ人材のすそ野を広げ、突出した人材を発掘・育成する目的で設立された。シマンテックやトレンドマイクロ、マカフィー、ラックといったセキュリティ企業のほか、日本電気や日立製作所、三菱電機などの大手企業、グーグルやミクシィ、サイバーエージェントのようにWebサービス開発に強い企業など、26の企業・団体が参加する。
なお2011年には「標的型攻撃」に代表されるセキュリティ事件が頻発し、セキュリティ人材育成の必要性が高まってきた。このことを踏まえ、「プログラミング」を外し、セキュリティに焦点を絞って実施していく。
「これまで『出る杭を引っ張り上げる』ことを目的に、一流講師陣の下でセキュリティキャンプを実施してきた。さりながら、セキュリティ人材のすそ野をもっと広げていこうとすると、官でできることには限りがある。地方の人材を発掘するという意味でも、企業の出番が求められる」(IPA理事長 藤江一正氏)。
体制変更には、「入口」の拡大と「出口」の充実という2つの目的がある。これまでは、自ら申し込んできた希望者を書類選考するという形で参加者を選抜しており、ある意味「狭き門」となっていた。今後は、地方講座とのコラボレーションによって、新たな可能性を持つ人材の発掘に取り組む計画だ。同時に、キャンプ卒業生と企業が交流を深めることで、将来的な活躍の場につなげていくという狙いもある。藤江氏はさらに、この取り組みを「産学連携、官民連携のモデルケースにしたい」と述べた。
セキュリティ・キャンプ実施協議会の会長に就任した西本逸郎氏(ラック)は、セキュリティ人材には技術だけでなく、コミュニケーション能力や幅広い人脈も求められると指摘。「会員企業やキャンプ卒業生も含めた交流を継続的に発展させることが、社会が脅威に対抗する1つの下支えになる」という。
セキュリティ・キャンプ実施協議会では引き続き会員を募集するほか、キャンプのカリキュラムなど具体的な計画を策定する「実行委員会」を組織。これまでのキャンプに該当する「セキュリティ・キャンプ中央大会」を実施するほか、年5〜6回のペースで地方講座を実施していく。特に「地方各地で実施されている勉強会のような、草の根コミュニティと協力していきたい」(西本氏)という。
「セキュリティ人材をオールジャパンで育てていきたい」(西本氏)。
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