SSL証明書発行サービス参入も計画
トレンドマイクロ、クラウド基盤のさらなる強化に取り組む
2012/03/26
トレンドマイクロは3月26日、企業向け戦略説明会を開催した。「クラウドセキュリティのナンバーワンを目指す」(トレンドマイクロの代表取締役社長兼CEO、エバ・チェン氏)という目標に向け、レピュテーション技術の拡充を図るほか、新たにSSL証明書発行ビジネスにも参入する計画だ。
同社がクラウドベースのセキュリティ基盤「Smart Protection Network」(SPN)を発表したのは2008年のことだ。インターネットを流れる電子メールやファイル、Webサイトの情報を収集し、危険なものかどうかをクラウド側で評価することにより、エンドポイントに負担を掛けずに脅威を検出する仕組みだ。
チェン氏は、このSPNを強化し、クラウドやモバイル、APT(Advanced Persistent Threat)/標的型攻撃対策に活用していく方針を明らかにした。「次世代SPNによって、マルウェア脅威から企業を保護するだけでなく、クラウドやモバイル環境を保護し、APTからも保護していく」(同氏)。
モバイルについては、すでに発表済みのモバイルアプリ評価技術「Mobile App Reputation」の市場投入に向けて、パートナーと話し合いを開始しているという。またクラウドの分野では、「Trend Micro Deep Security」の機能を強化し、基盤となるサーバを物理/仮想問わず保護していく。
昨今関心の高いAPT/標的型攻撃については、引き続きIPアドレスやドメイン単位で不審な添付ファイルやホストの情報を収集するほか、コンテンツレベルでデータのモニタリングを行う「Deep Security 3.0」を投入。企業ネットワーク内で添付ファイルに含まれる攻撃コードの振る舞いを解析し、SPNで得られるグローバルな情報と組み合わせることで、高度な攻撃を可視化し、検出できるようにしていく。
さらに、新たな分野として、同社顧客に対するサーバ証明書発行サービスを開始する計画だ。5月の連休明けをめどに、台数無制限の定額制で証明書発行サービスを提供する。Deep Securityと連動し、脆弱性情報と証明書失効期限などの情報を一元的に管理できるようになるという。
こうした施策に加え、「ライフサイクル全体にまたがる、エンタープライズ向けのセキュリティソリューションビジネスに注力していく」(同社取締役副社長 大三川彰彦氏)ことで、2014年には650億円超、2016年には780億円超の売り上げを目指すという。
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