静的解析と動的解析の組み合わせで対処
「うちの会社にしかこない攻撃」を可視化、トレンドマイクロ
2012/04/24
トレンドマイクロは4月24日、専用アプライアンスを用いて企業ネットワークを流れるパケットを監視し、脅威を可視化する「Deep Discovery」を発表した。どの端末でどういったイベントが発生しているかをダッシュボードで把握し、対処につなげることができる。
Deep Discoveryは、ネットワークスイッチのミラーポートに接続してセンサーとして動作するアプライアンスと、オプションの支援サービスから構成される。このアプライアンスは、従来からのシグネチャに基づく攻撃検出だけでなく、ファイルの構造や特徴を基に、500以上のルールに基づいて脆弱性を狙う疑わしいファイルを検出する「静的解析」と、仮想環境(サンドボックス)で実際にファイルを動作させて挙動を解析する「動的解析」という2つの解析システムを搭載しており、シグネチャが用意されていない未知の攻撃を検出できるという。
「最近の攻撃では、どの会社にも同じマルウェアが送られてくるわけではない。隣の会社には送られず、自分の会社にしかやってこない攻撃に、静的解析と動的解析を組み合わせて対処する」(トレンドマイクロ ソリューション事業本部 部長代行 大田原忠雄氏)。解析で得られた攻撃元の情報や悪用している脆弱性、マルウェアに感染したと思われる端末などの情報は、リアルタイムにダッシュボードに表示される。
また、動的解析の結果得られたファイルのハッシュ値や不正なURL、接続先といった情報は、静的解析で用いるブラックリストにフィードバックされる。これによって「次に似たような攻撃が来たときに、効率的に検出できる」(大田原氏)。これらの情報はさらに、プレミアムサポートサービスを通じて同社の解析部門であるTrend Labsに送られ、シグネチャ作成に利用されるほか、クラウドベースのレピュテーションシステム「Smart Protection Network」にも反映される。
なおトレンドマイクロは2008年から、アプライアンスを用いて未知のマルウェアの検出を行う「Trend Micro Threat Management Solution(TMS)」を提供済みだ。Deep Discoveryはこの延長線上にある製品で、動的解析機能を追加したほか、相関分析に基づくレポートをリアルタイムに確認できる点が強化されているという。
オプションサービスでは、レポートに関する問い合わせに答える「基本サービス」のほか、同社のナレッジを反映させ、掘り下げた形で毎週レポートを提供する「インシデントレポート」、脅威の傾向や対策をまとめ、経営層向けに説明を行う「エグゼクティブサービス」といったメニューを用意。これにより、日々のセキュリティ運用を支援する。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。