最新版へのアップデートを推奨
Adobe Flash Playerに脆弱性、標的型攻撃も確認
2012/05/07
米アドビシステムズが5月4日に修正したAdobe Flash Playerの脆弱性を狙う標的型攻撃が発生している。JPCERT/CCをはじめ、複数のセキュリティ機関が注意を呼び掛けた。
この脆弱性(APSB12-09、CVE-2012-0779)は、Adobe Flash Player 11.2.202.233以前に存在する。オブジェクトの混在に関連する脆弱性で、細工を施した悪意のあるコンテンツを開いてしまうと、アプリケーションがクラッシュしたり、リモートから任意のコードを実行されてしまう恐れがある。
この脆弱性は、Windows版FlashだけでなくMac OS XやLinux、Androidの各プラットフォーム版にも影響する。
特にWindowsに関しては、脆弱性を悪用する添付ファイルを介してトロイの木馬をダウンロードさせようとする標的型攻撃が確認されており、注意が必要だ。
シマンテックでは、軍需関連産業をターゲットにした複数の標的型攻撃を確認した。Internet Explorer(IE)上のFlash Playerを狙う攻撃で、1週間以上活動が続いているという。
メールのタイトルや本文には、「中東における秘密兵器」や「合併」といった、受信者の興味を引きそうなキーワードがちりばめられており、悪質なFlashファイルへのリンクが埋め込まれたWordファイルが添付されている。これを開いてしまうと脆弱性が悪用され、バックエンドでシェルコードが実行される仕組みだ。解析によれば、一連の攻撃に使われている添付ファイルは、中国、韓国、米国でホストされているサーバに接続して、攻撃に必要なデータを取得していたという。同社は、今後数日のうちに標的が変わる可能性があるとし、注意を呼び掛けている。
対策は、5月4日に公開された最新版であるFlash 11.2.202.235(Windows、Mac、Linux)、11.1.115.8(Android 4.x)、11.1.111.9(Android 3.x)にアップデートすることだ。なお、Google Chromeでは、自動更新機能によってFlash Playerもアップデートされる。
JPCERT/CCではアップデート時の注意点として、普段IE以外のブラウザを使用している場合でも、IE用にAdobe Flash Playerがインストールされているケースがあることに触れ、IE用のFlashも更新するよう推奨している。
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