約300名のセキュリティチームが支えるインフラ
クラウド活用の鍵は「信頼」、グーグルがISO 27001認証を取得
2012/05/29
米グーグルは5月29日、企業向けサービス「Google Apps for Business」に関して、情報セキュリティマネジメントに関する国際規格であるISO 27001認証を取得したことを明らかにした。「クラウド導入において最も懸念される事柄がセキュリティだ。今回のISO 27001認定取得によって、そのハードルを乗り越える」(米グーグル セキュリティ担当ディレクター エラン・ファイゲンバウム氏)。
ISO 27001認証の対象は、Google Apps for Businessを提供するデータセンターやインフラ、従業員ならびにサポートも含めたプロセスなど。これにより、仕様要求書(RFP)などでISO 27001認証を求めている企業でも、Google Apps for Businessを利用できるようになる。
同社はすでに、Google Apps for Govermentに関してFISMA(Federal Information Security Management Act、連邦情報セキュリティマネジメント法)の認証を受けているほか、アウトソーシング業務を行う企業の内部統制評価基準である「SSAE16」「ISAE3402」などの認定も受けている。
ファイゲンバウム氏は、「クラウド活用においては信頼が非常に重要となる。その信頼の源泉となるのが、人やプロセス、テクノロジに関する透明性だ」と述べ、一連の認定取得によってサービスへの信頼を高めていくとした。
オンプレミスよりも「ずっと安全」
現在グーグルのセキュリティチームは、約300名のエンジニアで構成されている。新規プロダクトの開発時には設計の段階からセキュリティを盛り込むために関与するほか、システムに対する脆弱性検査を行ったり、ハッキングコミュニティの動向をウォッチしたり、脆弱性がサービスにもたらす影響を調査したりと、さまざまな活動を通じて、サービスのセキュリティ改善に取り組んでいるという。
通常のオペレーションでは、カリフォルニアとニューヨーク、チューリッヒの3カ所に置かれたセキュリティセンターから、24時間365日体制で監視を行っているそうだ。
データセンターの物理セキュリティについては、警備員による巡回やビデオ監視、入退室管理といった対策を実施している。加えて、サーバの堅牢化1つをとっても、サービスに利用していない不要なプロトコルをふさぐというシステム的な対策だけでなく、ビデオポートやシリアルポートといった物理的なポートも、使わないものはふさぐという具合だ。
データの保存方式にも工夫を凝らす。1通のメールを保存するにも、データを複数に断片化して難読化。その複製を、データセンター内の複数のサーバに保存するだけでなく、複数のデータセンターにまたがって分散して保存する。仮にどこかが攻撃を受けてデータが一部盗み出されても、元の形に戻すことは困難だ。このようにして、データの安全性と冗長性を両立させているという。
ファイゲンバウム氏は、こうした取り組みによって「クラウドコンピューティングは、既存の環境(=オンプレミスの環境)よりもずっと高いセキュリティを実現する。特に、ITにリソースを投じる余裕のない中小企業に比べればその差は歴然としているし、大企業と比べても同等のセキュリティを得られる」と述べた。
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