クラウドやモバイル向けの新サービスも投入計画
シマンテック、セキュリティ専門家の育成に着手へ
2012/06/20
シマンテックは6月20日、企業戦略説明会を開催した。シマンテック 代表取締役社長 河村浩明氏は、標的型攻撃対策やデータセンター移行支援といったエンタープライズ向けソリューションを展開するとともに、セキュリティ専門家の育成を目指す「シマンテック・サイバーディフェンスアカデミー」の開始をはじめ、いくつか新たな事業にも力を注いでいくことを明らかにした。
2012年度は、SMB(中堅中小企業)専門の事業部編成といった販売代理店向けの施策強化や、OEM共同ソリューションの展開といった営業戦略を通じて、前年比17%という成長を成し遂げたという。2013年度はこうした取り組みを継続しつつ、3つの新規事業に取り組む。
1つ目は、セキュリティ人材の育成を目指す、シマンテック・サイバーディフェンスアカデミーの開設だ。「守るべき対象は増えている一方で、ゼロデイアタックの急増など、脅威はますます悪質化している。その中で一番足りないのは人材だ」(河村氏)。同社がこれまで蓄積してきたナレッジや、グローバルに展開している情報網「Global Intelligence Network」から得られる知見を基に、演習を交えながらセキュリティに関する教育を実施する。
9月の開校時には、企業のIT管理者や技術部門のマネージャ層を対象とした2つのコースを用意する。サイバー脅威の検知・解析に関するノウハウを習得する「Cyber Threat Detection」と、セキュリティインシデントへの対応・解決・報告を行う技術を磨く「Cyber Incident Response&Recovery」で、いずれも5日間35時間のコースだ。受講料は1人当たり50万円程度となる。
将来的には、マルウェア解析などに携わるセキュリティプロフェッショナルを育成するコースや、システムインテグレータとの間で適切にセキュリティに関するハンドリングを行うためのコースなども開設していく方針だ。また、卒業生のコミュニティ作りやCapture The Flag(CTF)的なイベントの開催も視野に入れているという。
2つ目は、これまで主にライセンス販売を行ってきたバックアップソフト「NetBackup」をアプライアンス化して提供するというもの。「バックアップデータ管理の統合化、自動化を支援する」(河村氏)。
さらに、クラウドおよびモバイル向けに新たなサービスを投入していく。すでに、クラウドベースのメールセキュリティサービス「シマンテックドットクラウド」を提供済みだが、新たに、複数のクラウドサービスに対する認証/シングルサインオンとアクセス制御などを実現する「O3」、スマートフォンやタブレット端末上のアプリケーションを管理し、「機密情報だけをピンポイントでリモートから消すことができる」(河村氏)というアプリケーション管理サービス「Nukona」などを提供する計画だ。
「利便性とリスクとのバランスを、ハードウェアやソフトウェアではなく『人』と『情報』に着目して追究することが、シマンテックの差別化要因だ」(河村氏)。
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